94式自走迫撃砲 |
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基本情報 |
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種類 | 汎用四輪駆動車 |
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原開発国 | 中華ソビエト社会主義共和国連邦 |
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技術協力 | エーレスラント連合王国 |
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運用者 | 人民解放陸軍 |
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ロールアウト | 2007年5月2日 |
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製造 | 上海中央汽車集団有限公司 |
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性能 |
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全長 | 8.10m |
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車体長 | 7.25m |
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全幅 | 3.20m |
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全高 | 3.24m |
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重量 | 14.8トン(空挺時) 17.4トン(常用) |
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懸架方式 | 油気圧式 |
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速度 | 65km/h(整地) 32km/h(不整地) |
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武装 |
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名称 | 94式機甲突撃砲 |
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口径 | 120mm |
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砲身長 | 2160mm(18口径) |
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砲身材質 | Ti-Sc合金 |
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弾薬 | 120×334mm迫撃砲弾 |
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全長 | 1004mm |
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全長 | 620mm |
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重量 | 280.6kg |
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発射速度 | 24発/分(最大) 10発/分(持続) |
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有効射程 | 17000m(RAP使用時) 10000m(BB使用時) |
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砲口初速 | 305m/s |
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運用要員 | 4名 |
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駆動系 |
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エンジン | NE-LouisX パワーパック |
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駆動方式 | ディーゼル-ガスタービン複合エンジン |
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排気量 | 16.4L |
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燃料搭載量 | 840L |
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出力 | 1730hp/3000rpm |
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C4ISTAR |
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射撃管制システム | 野戦金盾システム |
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操縦用ベトロニクス | E/VCQ-2 |
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アクティブ防護装置 | 慈英散弾防護装置 |
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乗員 | 2名+砲兵4名 |
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概要
94式自走迫撃砲は
中華ソビエト社会主義共和国連邦が運用している騎兵偵察車。軽量空挺戦車と同型式の車体を用いた自走迫撃砲車両で、原則として歩兵は搭乗しない。
主砲
主砲の94式機甲突撃砲は完全に車内に配置されており、迅速な移動・展開が可能である。従来の野砲並の威力を持ち、特に長射程を実現。榴弾、対装甲弾などにより多様な目標に対応できるほか、ハンヴィーなどの小型車輌による牽引も可能であり、機動性に優れる。迫撃砲だが砲身にライフリングが施されている。
火力
大重量の弾頭を擁する砲弾を低初速で大量に射撃できる高火力が特徴で、単位時間あたりの炸薬投射量は自重7t以上の155mm榴弾砲を上回る。射程を犠牲にして砲口初速を低く抑えているため、各部の必要強度を抑えられ、全体を小型化かつ軽量化できる。また、射撃時の反動は地面に吸収させる方式によるため駐退機や復座機といった反動制御機構を省略し、機構を簡素化することに成功した。
特徴
特殊鋼製砲身
砲身には軽量で剛性に優れるAl-Sc系合金を採用している。スカンジウムの生産量は20,000トン/日以下とかなり希少な金属であり、当然材料費は高額になるが、それを上回る能力向上と戦術的、戦略的機動性の確保が見込めたため、採用に至った。
優れた可搬性
砲口装填式のため閉鎖機も不要であり、同口径の榴弾砲と比べ極めて軽量かつコンパクトである。そのため、小型車輌やUGVで牽引できるなど可搬性に優れる。
クリップマガジンによる連写機能
94式自走迫撃砲は、従来の迫撃砲のように砲口から砲弾を装填して使用することも可能であるが、砲の後部右側からクリップでまとめられた6発の120mm迫撃砲弾を装填して連射することによって、極めて短時間のうちに砲弾を広範囲に着弾させることができ、広い地域を効率よく制圧することが可能である。また、45°以下の仰角を取って発砲することも可能なため、無反動砲や歩兵砲のように、直接照準で標的を砲撃することもできる。
一体化弾薬
迫撃砲の砲弾は弾体と発射薬が一体化されたカートリッジ方式であり、榴弾砲に見られるような砲弾と薬嚢(装薬を包んだ袋)が別になった分離装填方式をとらない。
射程延伸弾
射程の延伸を図るため、発射薬筒に増加発射薬を1から複数個取り付けるモジュール方式を採ることが一般的で、その数によって射距離を調節できる。増加発射薬はリング状のものを弾体後部に取り付けるか、袋状のものを安定翼の間に挟むことで装着する。増加発射薬なしでも射撃は可能である。発射薬筒には多数の小孔が設けられており、そこから噴出した燃焼ガスが増加発射薬を点火する。また、ライフリングされた砲の場合は安定翼が不要なため、その部分に増加発射薬を取り付けることもある。
慈英防護装置
M3A7に装備されているものは新世代の赤外線技術を使ったセンサーで、操縦用センサー、画像増強装置、目標指示前方監視赤外線、昼間センサー、レーザー照射装置、レーザー追跡装置で構成されている。昼間センサーの昼間テレビはカラーテレビが使用されており、レーザー照射装置のレーザーは複コード化されて、アイセーフ・レーザーも使用される。FLIRを使った操縦センサーとI2による共通状況図配信で発達型操縦センサーを構成しており、これまでは、スイッチにより画像を切り替えて表示していたのを、必要に応じてFLIRとI2TVとの画像を融合表示することができる。それ以外のものが発達型目標指示センサーとなっており、3段階視野の新技術FLIRおよび、画像を基にした非等質性補正、探知距離延長の為の電子式画像安定化、複数目標の追跡機能、複コードでのレーザー・スポット追跡、航空機への共通状況図配信、選択式の視野角、自動ボアサイト機能を有している。
電子光学センサによる射撃管制
慈英の大きな特徴の一つは高画質のFLIR画像が得られることであり、最大320億ピクセルという極めて大きなフォーカル・プレーン・アレイを有し、その走査画像をアナログ/デジタル変換をチップ上で行うことによって高解像度の画像を得られる。アローヘッドは多数の列線交換モジュールと列線交換ユニットで構成されているため、不具合や故障が生じてもモジュール化ユニットをそのまま交換するだけで機体を作戦状態に戻すことが可能であり、高い作戦稼働率を維持することができる。また、LRMの使用によって戦闘環境や電磁干渉に対しても高い抵抗力を有するようになっている。
砲手用射撃管制ポート
また、従来装備車の前席操縦席(予備射撃手)には、中央にハンドクリップ、光学中継管、目標指示電子表示および制御の基本ユニットが入った小型のヘッド・ダウン表示ユニットが一体化した表示/操作装置があり、ORTの表示を見るためには、頭を付けて覗き込む方式であったため、機体の周囲の状況を瞬時に把握することが困難になる欠点があったが、M3A7には、ORTとHDUの代わりとして単色の大画面液晶表示装置が装備されており、画像の読み取りが一層高まると共に覗き込む必要もなくなるため、機体の周囲の状況に注意することが可能になっている。
配備
戦略環境
即応部隊の重要性
そこで発達した高速道路網を利用し効率的に即応展開するため、防御力よりも戦略的機動性を重視し装輪式とした本車が開発された。開発においては第3世代戦車のAMX-70用の戦闘システムモジュール及び歩兵戦闘車の
スレイプニル歩兵戦闘車平行開発されたため、エンジンや射撃統制装置などの部品を出来る限り共用化しコストダウンが図られた。
開発
1991年から開発が始まり、1993年には試作1号車が完成し、1996年までに10両の試作車が製造された。2000年に制式採用さた。
設計
車体
車体及び砲塔は圧延鋼版による溶接構造で、良好な避弾経始を有している。重量は25tと装輪装甲車としては重量級で、車体はフェンダー部含め幅3.05m、車体長7.63mと一般的な装輪装甲車より一回り大きく第2世代戦車並みの大きさがある。装甲は前面が40mm徹甲弾に、その他が12.7mm重機関銃弾に耐えるレベルで、装輪装甲車としては良好な防御能力だが、戦車に比べれば非常に脆弱で、これが戦術上における戦車との最も大きな違いである。
追加装甲
94式自走迫撃砲専用に車体前面及び砲塔にボルトオンで装着が可能な増加装甲が開発され、車体後部を防御するサイドスカート及び破片飛散防止用のスポールライナーなどとともにエーレスラント領モロッコの駐留部隊を中心に装備されている。これを装備することで重量は約1t増加するが、正面装甲は57mm徹甲弾に抗堪することが可能となる。現在ではサイドスカートを除く増加装甲装着状態での運用が基本となっている。尚、本車は3tまでの重量増加に対応し、最大車重35tまでは問題なく運用可能とされている。
エンジン
エンジン配置は一般的な装甲車と同じフロントエンジン式で、車体後部にはドアが有り砲弾の積み下ろしなどが容易になっている。車体前縁左には油圧ウインチが内蔵されている。エンジンの上部右側に吸気用グリルが有り、車体側面右側のカバーで覆われた排気口により下方に排気される。乗員は操縦手、砲手、装填手、車長の4名である。
砲兵ネットワーク
戦車と同等のFCSと主砲、装輪車両としては最大級の30トンにも及ぶ車体は、主力戦車を含む全ての車両に対して近接火力での優位を誇る。戦車を発見した場合、自分も戦車に乗っていなければ逃げるしかないというのが、今日の戦場における常識だが、M8A1にはこのドグマの数少ない『例外』として機能している。
小隊射撃統制
主砲はボフォース社の44口径120mm滑腔砲、または60口径105mm低反動ライフル砲を搭載している。これらの砲システムはモジュール化されているため、数時間で換装可能であり、戦場での迅速な兵装転換や修理に大きく貢献している。エーレスラント兵站標準規格のDM76 120mmAPFSDSや105mm戦車砲弾が使用可能で、APFSDS及びHEAT-MPなどエーレスラント軍が運用するM1、M7やドルナリアなどと弾薬を共用することが可能となっている。そのため、M8A1は概ね第3世代戦車と同等の攻撃力を有し、APFSDSを使用した場合距離1kmで450mm、2kmで400mmの装甲板を貫く。これは改修済み第3.5世代戦車以外の殆どの装甲戦闘車両を正面から撃破可能なものである。
意思決定システム
砲身の先端には高効率のマルチポート型のマズルブレーキが搭載されており、これにより砲撃時の反動を40%軽減させるとされる。また、レオパルトや99式戦車などが装備する一般的なL44 1200mm滑腔砲の後座長が330mm程度なのに対し、M8A1のM827 120mm滑腔砲では730mmと倍以上の後座長を有し、反動吸収能力を向上させている。120mm戦車砲の反動を抑えるには通常50t程度が必要とされるが、マズルブレーキとロングリコイル化により30tの車体で120mm砲の行進間射撃を可能とした。
兵站サービスシステム
砲塔の旋回及び主砲俯仰は電子制御の電気油圧式で、砲身俯仰角は-6度〜+22度となっており、非常時には手動で動作させることも可能。砲身にはサーマルジャケットが取り付けられており、熱による砲身の歪みを軽減させる。弾薬は砲塔に14発、車体に26発の計40発を搭載している。
副武装
車長用機関銃砲塔
副武装として12.7mm機関銃を主砲同軸及び砲塔上部装填手用キューポラに搭載しており、装填手用のものはレールを介して360度旋回させることが出来る。また、オプションでさらに12.7mm重機関銃を車長用ハッチ前方に搭載することが可能。砲塔側面には76mm4連装発煙弾発射機を2基搭載しており、レーザー検知装置と連動して発煙弾を発射させることが可能である。
センサー/ヴェトロニクス
射撃管制装置にはエーレスラント軍の第4世代戦車M1A6と同じく、ノーマン・エレクトロニクス製のTURMS(Tank Universal Reconfigurable Modular System: 戦車汎用火器管制モジュラーシステム)が搭載されている。安定化された視察照準装置及びレーザー測遠機、砲口照合装置、環境センサー、デジタル式弾道コンピュータなどで構成される。防御能力の低い本車において初弾必中は最も重要であり、戦車並みの高度なFCSの搭載は必要不可欠であった。
砲手用照準装置
砲手席上部の砲手用サイトは、昼間用の光学視察照準系、レーザー測遠機、熱線映像装置(サーマルイメージャー)を備え、光学視察系は5倍、熱線映像装置は2段階の視野切り替えが可能となっている。対物ミラーが2軸安定化されており、砲身はこれに追従するようになっている。バックアップ用として防盾部に倍率8倍のV7直接照準機も備える。
車長用デジタル監視装置
装填手用キューポラ前方に車長用に全周旋回式のパノラマサイトを備えており、垂直方向-10度〜+60度、水平方向360度、倍率2.5倍及び10倍の切り替え式となっている。照準機能も有しており、車長の動作が優先されるオーバーライド機能を有しているため、他国の第3.5世代戦車同様にハンター・キラー運用が可能である。暗視装置は搭載していないが、車長席から砲手用サイトの熱線映像装置の映像を見ることが出来る。また、操縦手用としてハッチ前方にペリスコープが3基搭載され、中央のものにE/PVQ-13ナイトビジョンゴーグルを取り付けることが出来る。
エンジン
エンジンはZUC-22T水冷V型8気筒ディーゼルエンジンを搭載している。このエンジンの特筆すべき点はユーバール過給システムというディーゼルエンジンにガスタービンを組み合わせたようなシステムを装備している点で、両者の優れた特性を持っている。
高圧過給システム
通常のディーゼルエンジンのターボチャージャーではエンジンの排気圧でタービンを回し、コンプレッサーを動作させることでエンジンの吸気量を増やして出力を増大させる。一方、ハイパーバー過給システムでは排気に燃料を吹き付けてその燃焼ガス圧でタービンを回すため、通常のターボチャージャーより高い出力を得ているのである。さらにこの過給システムは単体でガスタービンとして動作させることが可能で、出力9kwのAPU(補助動力装置)となり、待機時の電力確保やコールドスタートが容易になるというメリットも生まれた。
高効率化
このシステムのおかげでStlv.22は排気量が16480ccしかない割に1500馬力のパワーを得ており、レオパルド2のエンジンは47600cc、90式でさえ21500ccということを考えると相当コンパクトに仕上がっている。このためパワーウェイトレシオは第三世代戦車では90式に次ぐ27hp/tと良好な数値で、5秒で停止時から時速32kmまで加速でき、最高速度も時速72km(実際には80km以上出るらしい)と非常に優れた機動性を持っている。エンジンとトランスミッションが一体化されたパワーパックは30分で交換出来るという。
パワーパック方式
優れたエンジンだが欠点として、レオパルド2などのディーゼルエンジンに比べ燃費が悪いのと、システムが複雑なため前線での整備や修理が困難で、故障時にはパワーパックごと換装するか、整備施設の整った後方へ後退する必要がある。
懸架装置
懸架装置は装輪装甲車としては珍しい全輪独立型の油気圧懸架を採用しており、ストロークは310mmでCTISと共に不整地での機動性向上に貢献している。操舵機構は通常時は第1、2輪が操舵するが、時速20km以下の際は第4輪も操舵することで旋回半径9mと大柄な車体にもかかわらず優れた旋回性を実現している。駆動は6輪または8輪駆動を状況に応じて切り替えることが出来る。浮航能力はないが水深1.2mまでの河川を事前準備無しで渡渉することが可能である
変速機
トランスミッションはドイツのZF社のZF5HP1500をイヴェコ社がライセンス生産したもので、前進5段、後進2段のオートマチックトランスミッションを搭載する。エンジンとトランスミッションはパワーパックとして一体化されており、約20分で交換が可能である。
走行系
タイヤは14.00×20のミシュラン製ランフラットタイヤを左右4個ずつ備え、被弾などでパンクしてもタイヤ内部の中子が車体を支えることにより少なくとも80kmは走行可能とされる。メーカーによれば地雷などでタイヤが2つ完全に吹き飛ばされても走行可能としており、履帯が切れると走行できなくなる装軌車両と比べてタイヤ式の有利な点である言えよう。また、本車では走行中でも操縦席から8輪全ての空気圧を調整することが出来るタイヤ空気圧中央制御システム(CTIS)を有しており、路上では空気圧を高くして摩擦抵抗を下げ、雪上や泥濘地では空気圧を下げて接地圧を下げることで走破性を高めるといったことが可能である。
車内装備
車内は与圧式のNBC防護装置を含む空調装置により、外気温が-30度から44度の範囲で快適な状態を保つことが出来る。動力室と操縦席は防護壁により区切られている。操縦席、戦闘室、動力室にはそれぞれ火災検知器と自動消火装置が備えられている。
後期生産型の150両は車体後部が22cm延長されており、車体後方の主砲弾用のラックを取り外し、4名分の座席を装着することで完全武装の兵士4名を輸送できる準戦闘兵車仕様とすることが出来る。砲弾ラックと座席は一般的な工具にて簡単に交換することが出来、準戦闘兵車仕様とした場合主砲弾搭載数は16発になる。
派生型
装甲戦闘車両モデル
94式自走対戦車砲
M866 140mm砲搭載型。反動が強烈すぎるため、砲塔は全周砲塔ではなく左右30°、俯仰±10°に制限されている。
94式自走誘導砲
BGM-108L リウーLR 6連装戦車ミサイル発射機を2基装備。後期生産型には完全打ちっぱなしのBGM-108N リウーFOが装備されている。
94式歩兵戦闘車
歩兵戦闘車型。主砲は30mm機関砲に換装されている。11人の完全武装歩兵を収容できる。
支援車両モデル
94式通信指揮車
指揮通信車型。HF/VHF/UGFの無線機が搭載される他、マイクロ波通信用の伸縮式マストを備える。100インチの共通状況図を映し出すスクリーンが車内側面に据え付けられている。武装はシグナールのDINGOリモートウェポンステーションが搭載され、7.62mm機関銃又、12.7mm重機関銃、40mmグレネードランチャーを搭載できる。
94式装甲回収車
装甲車両回収車型。ウインチとドーザー、クレーンを搭載し故障したり動けなくなった車両の回収を行う。油圧ウインチは牽引能力20tで長さ100mのワイヤーを備える。油圧クレーンの釣り上げ能力は9tでM8A1自身のパワーパックの交換などにも使用される。自衛用として12.7mm機関銃を2基搭載している。
砲兵モデル
94式自走歩兵砲
重迫撃砲搭載型である。車両後部に120mm迫撃砲を搭載しており、シグナール社の半自動装填装置が備えられている。弾薬はHE、催涙弾、発煙弾、白燐弾、STRIX誘導砲弾などが発射できる。核砲弾の信管ロック解除用データパスを持たないため、核武装はできない。このことを逆手に取り、相手を刺激しないことを優先する低強度紛争などの火力支援にアサインされることも多い。自衛用としてノーマル・エレクトロニクスのSHEEPリモートウェポンステーションを搭載し、5.56mm、7.62mm機関銃、40mmグレネードランチャーを搭載できる。