認証手段の都合上、2種類のカメラを配置している。最も多いのは顔認証と歩容解析、ナンバープレートの照会のみが可能な、比較的低画質の監視カメラである。
AIAはこれのみでも犯人を追跡出来るとしており、実際、変装などを全くしていない、一般的に想定される程度の対象であれば、3分以内に身元を特定することが実験によって確かめられている。しかし、顔認証と歩容解析の精度は組み合わせるだけで実用的と言える程度の正確性を持つものの、変装をしていたり、歩容解析が困難になるほど混雑している道路であったりした場合、精度は急激に悪化してしまう。それを回避するため、二つの目のカメラとして虹彩認証を行うための高画質監視カメラを配置し、虹彩認証による精度の上昇を行っている。
とはいえ、虹彩認証は数m離れると認識が難しくなる特徴があるため、実際に要監視対象などを追跡する場合は、クレジットカードの使用履歴や、施設の指紋・虹彩・網膜認証の履歴、GPSなどを組み合わせた個人追跡システムと共に運用することで、精度を確保している。また、変装などをしている場合は個別で解析を行い、要注意人物として付近をパトロールしている警官のスマートグラスに位置と共に表示される他、データベースへ別途に保存される。
速度違反や轢き逃げなどを行った場合は、ナンバープレートと車種の照会を行いながら自動的に追跡し、現在位置を近隣の警察官へ送信する。警察官は車両に搭載されたディスプレイや、スマートグラスに表示された情報をもとに犯人を追跡し、逮捕する。
照会、解析、追跡はAIとスーパーコンピューターによって行われているが、政府や裁判所は解析によって浮かび上がった容疑者でも逮捕までを自動化する訳ではなく、解析結果は精々参考資料程度のものであり、それ自体は証拠として成立しえないとしている。証拠として成立するのは監視カメラに犯罪行為が映っているなどの、今までも証拠して成立しているもののみである。