架空国家を作ろう 第2.6世界線 - 17式海兵戦闘車
17式海兵戦闘車
基本情報
種類水陸両用戦闘車
原開発国中華ソビエト社会主義共和国連邦
技術協力エーレスラント連合王国
運用者人民解放陸軍
ロールアウト2017年8月31日
製造上海中央汽車集団有限公司
性能
全長7.46m
車体長7.43m
全幅3.34m
全高2.64m
重量17.2トン
懸架方式油気圧式
装甲複合装甲
軽量スカンジウム装甲
エンジンNE-LouisF 複合パワーパック
駆動方式ディーゼル-ガスタービン複合エンジン
出力1000hp/2400rpm
速度70km/h(整地)
68km/h(不整地)
乗員3名+歩兵7名
主砲
名称Meup 55口径30mmチェーンガン
弾薬規格35×194mm EDF弾
作動方式チェーンガン
冷却方式強制液冷
発射速度180発/分
装甲貫通力140mm(AIPHE/500m)
200mm(AIPHE/200m)
使用弾薬AIPHE(知能化徹甲榴弾)
3PHE(プログラマブル榴弾)
APFSDS
HEI
給弾方式ベルトリンク方式
携行弾数100発




概要

17式海兵戦闘車は中華ソビエト社会主義共和国連邦で運用されている水陸両用車としての能力を有する歩兵戦闘車である。ロステンダー装甲兵員輸送車を置き換えることを目的に2010年から開発が始まり、2017年に制式化された。地上だけでなく、水上を浮上航行する能力を持つ水陸両用装軌車両で、水上での推進力は主にウォータージェット推進を利用するが、履帯の回転だけでも7.2km/hの推進力を有する。車体と砲塔は圧延防弾鋼板による全溶接構造で、60度の傾斜が付けられた車体前面装甲板は14.5mm重機関銃弾の直撃に耐えられるとされているほか、車体形状はレーダー反射や赤外線反射が考慮されている。砲塔と車体の前面および側面には2段階のレベルで増加装甲を装着することができ、乗組員が選択できるようになっている。なお、海兵隊向けのJAPCの増加装甲はオリエンテ社製の爆発反応装甲であるといわれている。

開発

開発は発展型水陸両用装甲車の試作研究という形で2015年から開始され、2012〜2015年にかけて各種試作が行われた。2015年から上海中央汽車集団有限公司にて量産が開始されており、2021年5月4日までに初年度調達分450両が納入され、毎年同様のペースで順次部隊配備が進められている。

設計

車体構造材

車体及び砲塔は圧延鋼版による溶接構造で、良好な避弾経始を有している。重量は25tと装輪装甲車としては重量級で、車体はフェンダー部含め幅3.05m、車体長7.63mと一般的な装輪装甲車より一回り大きく第2世代戦車並みの大きさがある。装甲は前面が40mm徹甲弾に、その他が12.7mm重機関銃弾に耐えるレベルで、装輪装甲車としては良好な防御能力だが、戦車に比べれば非常に脆弱で、これが戦術上における戦車との最も大きな違いである。

追加装甲

17式海兵戦闘車専用に車体前面及び砲塔にボルトオンで装着が可能な増加装甲が開発され、車体後部を防御するサイドスカート及び破片飛散防止用のスポールライナーなどとともにエーレスラント領モロッコの駐留部隊を中心に装備されている。これを装備することで重量は約1t増加するが、正面装甲は57mm徹甲弾に抗堪することが可能となる。現在ではサイドスカートを除く増加装甲装着状態での運用が基本となっている。尚、本車は3tまでの重量増加に対応し、最大車重35tまでは問題なく運用可能とされている。

エンジン

エンジン配置は一般的な装甲車と同じフロントエンジン式で、車体後部にはドアが有り砲弾の積み下ろしなどが容易になっている。車体前縁左には油圧ウインチが内蔵されている。エンジンの上部右側に吸気用グリルが有り、車体側面右側のカバーで覆われた排気口により下方に排気される。乗員は操縦手、砲手、装填手、車長の4名である。

兵装

武器システム
戦車と同等のFCSと主砲、装輪車両としては最大級の30トンにも及ぶ車体は、主力戦車を含む全ての車両に対して近接火力での優位を誇る。戦車を発見した場合、自分も戦車に乗っていなければ逃げるしかないというのが、今日の戦場における常識だが、M8A1にはこのドグマの数少ない『例外』として機能している。
主砲
主砲は55口径30mm機関砲を搭載している。これらの砲システムはモジュール化されているため、数時間で換装可能であり、戦場での迅速な兵装転換や修理に大きく貢献している。エーレスラント兵站標準規格のDM76 120mmAPFSDSや105mm戦車砲弾が使用可能で、APFSDS及びHEAT-MPなどエーレスラント軍が運用するM1、M7やドルナリアなどと弾薬を共用することが可能となっている。そのため、17式海兵戦闘車は概ね第3世代戦車と同等の攻撃力を有し、APFSDSを使用した場合距離1kmで450mm、2kmで400mmの装甲板を貫く。これは改修済み第3.5世代戦車以外の殆どの装甲戦闘車両を正面から撃破可能なものである。

砲身の先端には高効率のマルチポート型のマズルブレーキが搭載されており、これにより砲撃時の反動を40%軽減させるとされる。また、レオパルトや99式戦車などが装備する一般的なL44 1200mm滑腔砲の後座長が330mm程度なのに対し、M8A1のM827 120mm滑腔砲では730mmと倍以上の後座長を有し、反動吸収能力を向上させている。120mm戦車砲の反動を抑えるには通常50t程度が必要とされるが、マズルブレーキとロングリコイル化により30tの車体で120mm砲の行進間射撃を可能とした。
砲塔システム
砲塔の旋回及び主砲俯仰は電子制御の電気油圧式で、砲身俯仰角は-6度〜+22度となっており、非常時には手動で動作させることも可能。砲身にはサーマルジャケットが取り付けられており、熱による砲身の歪みを軽減させる。弾薬は砲塔に14発、車体に26発の計40発を搭載している。

副武装として12.7mm機関銃を主砲同軸及び砲塔上部装填手用キューポラに搭載しており、装填手用のものはレールを介して360度旋回させることが出来る。また、オプションでさらに12.7mm重機関銃を車長用ハッチ前方に搭載することが可能。砲塔側面には76mm4連装発煙弾発射機を2基搭載しており、レーザー検知装置と連動して発煙弾を発射させることが可能である。

センサー/ヴェトロニクス

射撃管制装置にはエーレスラント軍の第4世代戦車M1A6と同じく、ノーマン・エレクトロニクス製のTURMS(Tank Universal Reconfigurable Modular System: 戦車汎用火器管制モジュラーシステム)が搭載されている。安定化された視察照準装置及びレーザー測遠機、砲口照合装置、環境センサー、デジタル式弾道コンピュータなどで構成される。防御能力の低い本車において初弾必中は最も重要であり、戦車並みの高度なFCSの搭載は必要不可欠であった。
砲手用照準装置
砲手席上部の砲手用サイトは、昼間用の光学視察照準系、レーザー測遠機、熱線映像装置(サーマルイメージャー)を備え、光学視察系は5倍、熱線映像装置は2段階の視野切り替えが可能となっている。対物ミラーが2軸安定化されており、砲身はこれに追従するようになっている。バックアップ用として防盾部に倍率8倍のV7直接照準機も備える。
車長用デジタル監視装置
装填手用キューポラ前方に車長用に全周旋回式のパノラマサイトを備えており、垂直方向-10度〜+60度、水平方向360度、倍率2.5倍及び10倍の切り替え式となっている。照準機能も有しており、車長の動作が優先されるオーバーライド機能を有しているため、他国の第3.5世代戦車同様にハンター・キラー運用が可能である。暗視装置は搭載していないが、車長席から砲手用サイトの熱線映像装置の映像を見ることが出来る。また、操縦手用としてハッチ前方にペリスコープが3基搭載され、中央のものにE/PVQ-13ナイトビジョンゴーグルを取り付けることが出来る。

エンジン

エンジンはZUC-22T水冷V型8気筒ディーゼルエンジンを搭載している。このエンジンの特筆すべき点はユーバール過給システムというディーゼルエンジンにガスタービンを組み合わせたようなシステムを装備している点で、両者の優れた特性を持っている。

通常のディーゼルエンジンのターボチャージャーではエンジンの排気圧でタービンを回し、コンプレッサーを動作させることでエンジンの吸気量を増やして出力を増大させる。一方、ハイパーバー過給システムでは排気に燃料を吹き付けてその燃焼ガス圧でタービンを回すため、通常のターボチャージャーより高い出力を得ているのである。さらにこの過給システムは単体でガスタービンとして動作させることが可能で、出力9kwのAPU(補助動力装置)となり、待機時の電力確保やコールドスタートが容易になるというメリットも生まれた。

このシステムのおかげでStlv.22は排気量が16480ccしかない割に1500馬力のパワーを得ており、レオパルド2のエンジンは47600cc、90式でさえ21500ccということを考えると相当コンパクトに仕上がっている。このためパワーウェイトレシオは第三世代戦車では90式に次ぐ27hp/tと良好な数値で、5秒で停止時から時速32kmまで加速でき、最高速度も時速72km(実際には80km以上出るらしい)と非常に優れた機動性を持っている。エンジンとトランスミッションが一体化されたパワーパックは30分で交換出来るという。

優れたエンジンだが欠点として、レオパルド2などのディーゼルエンジンに比べ燃費が悪いのと、システムが複雑なため前線での整備や修理が困難で、故障時にはパワーパックごと換装するか、整備施設の整った後方へ後退する必要がある。

懸架装置

懸架装置は装輪装甲車としては珍しい全輪独立型の油気圧懸架を採用しており、ストロークは310mmでCTISと共に不整地での機動性向上に貢献している。操舵機構は通常時は第1、2輪が操舵するが、時速20km以下の際は第4輪も操舵することで旋回半径9mと大柄な車体にもかかわらず優れた旋回性を実現している。駆動は6輪または8輪駆動を状況に応じて切り替えることが出来る。浮航能力はないが水深1.2mまでの河川を事前準備無しで渡渉することが可能である

変速機

トランスミッションはドイツのZF社のZF5HP1500をイヴェコ社がライセンス生産したもので、前進5段、後進2段のオートマチックトランスミッションを搭載する。エンジンとトランスミッションはパワーパックとして一体化されており、約20分で交換が可能である。

タイヤ

タイヤは14.00×20のミシュラン製ランフラットタイヤを左右4個ずつ備え、被弾などでパンクしてもタイヤ内部の中子が車体を支えることにより少なくとも80kmは走行可能とされる。メーカーによれば地雷などでタイヤが2つ完全に吹き飛ばされても走行可能としており、履帯が切れると走行できなくなる装軌車両と比べてタイヤ式の有利な点である言えよう。また、本車では走行中でも操縦席から8輪全ての空気圧を調整することが出来るタイヤ空気圧中央制御システム(CTIS)を有しており、路上では空気圧を高くして摩擦抵抗を下げ、雪上や泥濘地では空気圧を下げて接地圧を下げることで走破性を高めるといったことが可能である。

車内装備

車内は与圧式のNBC防護装置を含む空調装置により、外気温が-30度から44度の範囲で快適な状態を保つことが出来る。動力室と操縦席は防護壁により区切られている。操縦席、戦闘室、動力室にはそれぞれ火災検知器と自動消火装置が備えられている。
車体延長型
後期生産型の150両は車体後部が22cm延長されており、車体後方の主砲弾用のラックを取り外し、4名分の座席を装着することで完全武装の兵士4名を輸送できる準戦闘兵車仕様とすることが出来る。砲弾ラックと座席は一般的な工具にて簡単に交換することが出来、準戦闘兵車仕様とした場合主砲弾搭載数は16発になる。

特徴

軽量な車体

21式歩兵戦闘車の最大の特徴といえるのがその重量で、全備重量52.2tと一般的な第3世代戦車と比べ10t以上軽く、ドイツのレオパルト2A7と比べるとなんと20tも軽い。これに加え取り外しの容易な外装式モジュール装甲を採用しており、これを全て取り外すと45t程度となる。

輸送負荷軽減

一般的な歩兵戦闘車では大重量の車体をそのまま輸送することは一般の10×10トレーラーでは難しく、輸送には車体と砲塔を分離して運ぶか、戦車より高価な12×12装軌運搬車を用いる必要があり、泥濘に埋まった春の大陸での輸送には難があった。しかしM1A6ではモジュール装甲を取り外すだけで特に分解などせずに、21式歩兵戦闘車の輸送に使われるLVSR大型トレーラーや有事に数を揃えやすい民間の大型トレーラーでの輸送が可能となるため、戦略的な機動性が大幅に向上している。

装甲

軽量特殊装甲

この54.3tという重量を実現するためレオパルトなどの第3世代MBTのスタンダードサイズより一回り小型化し、東側戦車に近い寸法に落とし込んだ。新開発の複合装甲により防御力を下げることなく軽量化を実現した。複合装甲のセラミックバルク製造を担当しているオーデンセ重工業から、地上5階から落とされた無傷のバルクが試験動画とともに公開されている。新素材の複合装甲は極めて強靭で、現状の列強国のあらゆる戦車砲弾に抗堪できるとされる。車体及び砲塔正面は55口径砲で射撃した3BM67 125mmAPFSDS(装甲貫徹力900mm)及び120mmHEAT-MP DM12A2(装甲貫徹力600〜700mm)に耐えられるレベルがあると思われる。

装甲配置

砲塔正面はレオパルトのような垂直な装甲ではなく、楔形の装甲モジュールが配置されており、これは耐圧勾配ステートセラミックによるAPFSDSの衝撃波ビーム拡散を狙った一種のコヒーレンシャル装甲である。それに加え砲塔側面にもモジュール装甲が装備され、側面の防御力が向上している。

中空装甲エリア

砲塔側面のモジュールは現状ではルクレールや10式などと同様に工具ケースを兼ねた中空装甲になっており、対戦車ロケット弾による攻撃を意識したものと思われる。試作を担当したオスロ兵器廠では20式戦車の装甲を開発する際に、オスマン連邦から購入したRPG-29対戦車ロケット弾による耐弾試験を行っており、正面だけでなく砲塔側面もこれに耐えられるレベルであるとしている。

バスケットベイ

また、後部のバスケットはM1A5と比較して二回りほど大きくなっているが、これも対戦車ロケット対策のスラット装甲としての機能を持たせているためとされる。

チープキル対策

アクティブ防護装置

近年では市街地戦闘の増加によってゲリラなどによるATMからの攻撃が脅威となっており、今までのように正面だけでなく全方位からの攻撃が想定されるようになった。そのため世界各国の戦車ではこれに対抗できる全周防御がトレンドとなりつつあるが、このトレンドに反して20式戦車は大胆な軽量化を実行した。

高いVP装甲化率

それでも20式戦車のバイタルパートのほとんどが複合装甲で覆われており、コスト増大を躊躇わずに軽量化と全周防御を両立した。現在配備されている車両は50.5tだが、これらのモジュラー装甲を全て装備すると最大で55tになるとされる。これらの装甲はルクレールAZURのような車体側面用の増加装甲で、側面からのATM攻撃や自己鍛造弾攻撃に対処することが出来るようになる物と思われる。

ベトロニクス

車体間データリンク

第4世代戦車の基本装備とも言える、C4Iによる車両間データリンクシステムがMBTとしては初めて搭載された。これは自車の位置や味方の位置を野外戦術データリンク(FTDDL)により情報共有することで、車内モニターのデジタルマップにリアルタイムに敵味方情報が表示されるというものである。この共通状況図はエーレスラント統合規格によって生成されるため、車長の20インチのディスプレイから陸海空全てのセンサーのデータにアクセスできる。FTDDLに対応させる近代化改修は全軍を挙げて行われており、数年のうちに、陸軍管轄のOH-1観測ヘリやAH-1攻撃ヘリのみならず、空軍のJAS-49戦闘機、海軍のエシャロット級駆逐艦、海兵隊のJAS-42Bなどともデータリンク出来るようになり、戦車部隊は作戦環境をほぼリアルタイムで受けながら行動が可能になる。

砲手用照準装置

砲手用サイトは可視光およびIRカメラが搭載されており、従来は接眼式だけだった照準器もタッチパネル式大型ディスプレイとなり、射撃ボタンだけでなく画面をタッチし直接ターゲットに攻撃指示を出せるという。車長用のサイトはルクレールのような360度見渡せるタイプとなり、画像が車内ディスプレイに表示される。目標の捜索だけでなく照準も可能で、砲手の目標をオーバーライドすることも可能とされる。また、主力戦車としては世界で初めて視察照準系に4Kカメラを採用した。

照準警戒装置

砲塔の四隅には3つの窓を持つレーザー検知装置が装備されている。90式戦車のレーザー検知装置では前方180°しか検知することが出なかったが、M1A6では全周囲からのレーザー照射を検知する事が可能となっている。
レーザー警戒システム
搭載されているものは、ノルウェーのNelva社のModel301MGと呼ばれるレーザー警戒システムで、同社が製造しているヘリコプター用のE/AVR-87の車両版である。このシステムはレーザーレンジファインダー、セミアクティブレーザー誘導用レーザー、及びレーザービームライディング誘導用レーザーに対応しており、360°範囲のレーザー照射方向を±0.01°という高精度で検知し、車内のディスプレイ及び警報音で搭乗員に知らせる。3つの窓があるのは各種レーザー種別及び波長に対応するためである。
FCR警戒システム
砲塔側面前部には発煙弾発射機が搭載されており、M1A5E3などの旧来のエーレスラント戦車と同様レーザー検知装置と連動して動作させることが可能とみられる。

操縦手用オプティクス

操縦手用に操縦手用ペリスコープ横に1基、車体前面に1基の4Kカメラが装備され、車体後部に取り付けられたカメラと共に映像をモニターで見ながら操縦出来るようになり、操縦性が大幅に向上している。通常カバーが掛けられているペリスコープ横のものが赤外線暗視カメラと思われ、車体前面のカメラはペリスコープの死角を補うためのものとみられる。第3.5世代戦車でも、夜間は操縦手は暗視ゴーグルを使用して操縦しなければならない車種は多く、操縦手用暗視装置の搭載は大きなブレイクスルーだと考えられている。

火力

主砲

主砲にはアールノートが開発した55口径30mm機関砲が搭載された。M1A5ではドルツマン社のM804をライセンス生産していたものを搭載していたが、20式戦車に搭載された20式滑腔砲では完全な輸入となっている。将来的な発展性も考慮されており、砲身をより攻撃力の高い130mmの物に換装することが可能なように設計されているという。

自動装填装置

M1A3に引き続き自動装填装置を採用しているが、従来の物より進んだ物が搭載されており、高角砲や艦砲のように砲に仰角がある状態でも装填出来るようになっている。砲塔防盾右側には砲口照合装置の送受信部が取り付けられており、砲身先端部の砲口照合用ミラーにレーザーを照射して砲身の歪みを測定する。

砲弾

砲身はエーレスラント標準規格であり、M1A5と同じAPFSDS、HEAT-MP、キャニスター弾が使用できる。また、M827専用に開発された新型のAPFSDS『DM76』が使用可能で、実戦部隊の置き換えは2020年1月現在89%完了している。M1系列の対戦車用砲弾はこれまでDM33、DM43、DM53の3系列だったが、M827ではDM66の発展型であるDM76、すなわち6系列を採用した。105mm砲弾向けナンバーであったが、元締めのマプソリス社がテラホルム・ボーフォンを買収したことで技術力が爆発的に向上。主力戦車向けの砲弾市場にも食い込んできた。ちなみに、同社の最新型105mm砲弾『DM80』はDM53と同等の貫通力(RHA換算650mm)を達成した。

副兵装

副武装として砲塔上面に12.7mm重機関銃、防盾部にも主砲同軸に12.7mm機関銃が装備されており、その上には砲手用直接照準眼鏡がある。

エンジン

ターボチャージドディーゼル

エンジンには新開発の1600馬力のV型8気筒4サイクル水冷ディーゼルエンジンが採用された。このエンジンには電子制御式ユニットインジェクタや可変ノズル排気ターボ過給機、セラミックスコーティングといった最新技術が惜しげもなく導入されており、小型軽量ながら大出力を実現している。これに加えトランスミッションには主力戦車としては世界初のハイドロメカニカル式無段変速機(HMT)が導入され、これによりあらゆる回転域で最適な変速比を得ることが可能となり、エンジンからの伝達効率が大幅に向上している。M1A6のHMTは3速の有段変速と油圧式無段変速を組み合わせたものとなっている。

高圧過給システム

通常のディーゼルエンジンのターボチャージャーではエンジンの排気圧でタービンを回し、コンプレッサーを動作させることでエンジンの吸気量を増やして出力を増大させる。一方、ハイパーバー過給システムでは排気に燃料を吹き付けてその燃焼ガス圧でタービンを回すため、通常のターボチャージャーより高い出力を得ているのである。さらにこの過給システムは単体でガスタービンとして動作させることが可能で、出力9kwのAPU(補助動力装置)となり、待機時の電力確保やコールドスタートが容易になるというメリットも生まれた。

大出力化

このシステムのおかげで20式戦車は排気量が16480ccしかない割に1500馬力のパワーを得ており、レオパルド2のエンジンは47600cc、90式戦車でさえ21500ccということを考えると相当コンパクトに仕上がっている。このためパワーウェイトレシオは第3.5世代戦車では90式に次ぐ27hp/tと良好な数値で、5秒で停止時から時速32kmまで加速でき、最高速度も時速72km(実際には80km以上出るらしい)と非常に優れた機動性を持っている。エンジンとトランスミッションが一体化されたパワーパックは30分で交換出来るという。

水上浮航能力

パワーパックの功罪

優れたエンジンだが欠点として、基本的な構成のディーゼルエンジンに比べ燃費が悪いのと、システムが複雑なため前線での整備や修理が困難で、故障時にはパワーパックごと換装するか、整備施設の整った後方へ後退する必要があることは挙げられる。

駆動系

油圧懸架

17式海兵戦闘車の懸架装置全輪油気圧懸架となり、前後左右に車体を傾けることが出来るようになった。エーレスラント陸軍装甲戦闘車両総合研究室では1998年にセミアクティブ懸架、2004年にはアクティブ懸架装置を試作し装軌実験車MRVを用いて実験を繰り返しており、M1A6ではその研究成果が反映され、アクティブサスペンション懸架装置の性能は従来より向上しており、試作車ではモジュール装甲を外した軽量な状態でも安定した射撃を行っている。2017年のユトランド閲兵式では教導隊小隊が参加し、従来の戦車では不可能とされていた相互回避状況でのスラローム走行をしながら射撃を行うなど、高度な射撃性能を披露している。

派生型

戦闘車両

17式戦車駆逐車
M866 140mm砲搭載型。反動が強烈すぎるため、砲塔は全周砲塔ではなく左右30°、俯仰±10°に制限されている。
17式多目的誘導弾運搬車
BGM-108L リウーLR 6連装戦車ミサイル発射機を2基装備。後期生産型には完全打ちっぱなしのBGM-108N リウーFOが装備されている。
17式自走歩兵砲
重迫撃砲搭載型である。車両後部に120mm迫撃砲を搭載しており、シグナール社の半自動装填装置が備えられている。弾薬はHE、催涙弾、発煙弾、白燐弾、STRIX誘導砲弾などが発射できる。核砲弾の信管ロック解除用データパスを持たないため、核武装はできない。このことを逆手に取り、相手を刺激しないことを優先する低強度紛争などの火力支援にアサインされることも多い。自衛用としてノーマル・エレクトロニクスのSHEEPリモートウェポンステーションを搭載し、5.56mm、7.62mm機関銃、40mmグレネードランチャーを搭載できる。

支援車両

17式野戦救急車
野戦救急車型。主砲は30mm機関砲に換装されている。11人の完全武装歩兵を収容できる。
17式指揮通信車
指揮通信車型。HF/VHF/UGFの無線機が搭載される他、マイクロ波通信用の伸縮式マストを備える。100インチの共通状況図を映し出すスクリーンが車内側面に据え付けられている。武装はシグナールのDINGOリモートウェポンステーションが搭載され、7.62mm機関銃又、12.7mm重機関銃、40mmグレネードランチャーを搭載できる。

作業車両

17式装甲回収車

M1A6 AVRはM1A6の車体を流用した装甲回収車で、M1A6の導入に合わせ、M1A3戦車回収車の後継として開発された。2013年3月に初年度調達分の1両が納入され、4月7日の閲兵式にて初公開された。その名の通り戦車だけでなく他の装軌車の回収も行うことから、戦車回収車ではなく装軌車回収車という名称になっている。

基本的なレイアウトはM1A6と同様となっているが、ダスリングアレイが外され、模造構成品が使用されているなど細部が異なる。車体正面に取り付けられた油圧ウインチは、路外に転落したり、スタックした車両などの回収に使用されるもので、使用時以外はカバーが取り付けられている。ウインチでの牽引時は車体中央に搭載されているスナッチブロック(滑車)を使用し、ダブルラインで使用することでM1A6戦車の重量に対応する70tの牽引が可能となる。スナッチブロックはベルギーのレイモンド社製で、500kN(約90t)まで対応可能なものであり、この事からウインチ単体の牽引能力は36〜40tと推定される。

また、車体後部のフックに車体後部上面に搭載されている牽引棒を接続して牽引走行することが可能である。車体右に取り付けられたクレーンはスコルピア製作所製で、23tの吊り上げ能力を有し、戦車のパワーパックの交換などの際に使用される。車体後方のエンジンデッキの上にはパワーパックを輸送するための架台も備える。車体後部には従来は無かったアウトリガーが追加されており、クレーン使用時やウインチによる牽引時の安定性が向上しているものとみられる。

17式戦闘工兵作業車

M1A6をベースにした全装軌式の装甲戦闘車両であり、地雷原を除去して兵員および車両の進入路を啓開する。また、路肩爆弾や即席爆発装置の処理にも用いられる。 車重62t、全長12mの本車はM1A6戦車を基礎としており、動力には1600馬力のエンジンが用いられる。12.7mm機関銃で武装し、4000kg程度の工兵用爆破機材を運搬できる。車体前面には幅4.5mの鋤が取り付けられ、金属製の支持架で地表付近に保持されている。この車両は、テロリストとの紛争において致命的な脅威に直面したエーレスラントの兵員たちに対する「回答」と呼ばれた。ABVはまた、M58 MICLIC地雷除去導爆線を装備している。これは、ロケットでC-4爆薬を最高100ないし150ヤード前方へ曳航し、安全な距離から隠蔽された爆発物を起爆させる。これにより、兵員と車両が安全に通過できるようになる。1990年代、エーレスラント陸軍では、この用途のための複雑で保守に手間のかかる車両を開発し続けることはできないと決定した。2015年にグリズリー計画が中止され、開発された試作車両は全く量産ラインで作られることはなかった。しかし、脅威に直面する海兵隊はこの車両を諦めず、自主開発と試験のために資金を提供していた。ABVの最終的なモデルは、ジェネラル・ダイナミクスで製造されるM1A6の車体上部に本体部分を構築したものである。開発に協力したボーア・エンジニアリング社では、特別に設計された鋤と他の地雷除去用具を供給した。