架空国家を作ろう 第2.6世界線 - 新生ブラジル帝国のエネルギー産業

水力発電の時代

国内にアマゾン川水系やパラナ川等の大規模河川を有し、世界でも10指に入るダムを2箇所有する新生ブラジル帝国は、その電力の大半を水力発電で賄ってきた。
水力発電は土地問題や天候に左右されやすいなどの欠点を持つが、それを補うには充分すぎるほどの水量を誇る河川が新生ブラジル帝国には多数存在し、火力発電等は旱魃などで水量が不足した際のフォローと考えられて来た。
70年代になり、帝政復活?の後にB.E.S.(ベス)が国営であった石油開発部門の民間会社となると、石油精製と付随する形で国内の火力発電分野を独占した。
結果、水力発電70%に対して火力発電16%となったが、水力発電の供給率を奪うことは出来ず、オイルショックと重なり、次第に停滞化してい行った。
そして80年代になると、発電量1,400万kwを誇るイタイプダム?が建設され、国内に限らず、隣接地域への電力供給も行うようになる。

バイオマスの台頭

80年代における新生ブラジル帝国の電力供給率は水力発電が70%を占め、次が火力の16%となっていた。
新生ブラジル帝国は国内工業の発展に対応すべく、天候に左右されがちな水力発電の供給率を他のエネルギーに切り替えるべく模索してきた。
その第1段階が原子力であったが、国内のウラン製錬所のコスト問題で1996年に1時中断され、変わってバイオマス発電の研究に切り替わる。
元々新生ブラジル帝国は帝室であるブラサンガ家の直轄農園でのサトウキビ栽培が盛んであり、バイオマスの原料となるサトウキビの確保には苦労はしなかった。
サトウキビはトウモロコシほどバイオマス生産量は多くないが、作地面積における生産量はトウモロコシを大きく上回り、かつ穀物で無いことが選択肢の不自由さを軽減した。
そのため、サトウキビ農園は砂糖工場、カシャーサ酒造、バイオマス工場の3つのラインを持つことになり、ブラジルワーゲンノケイブの参画したバイオエタノールエンジン開発により、市街にはバイオエタノール100%に対応する自動車が大量に走り、空にもバイオエタノールエンジンを搭載したターボプロップ機が飛ぶようになる。
しかし、バイオマス燃料は石油燃料の70%程度の出力しか得られないため、依然として火力並びに水力発電の代用にはなり得ず、新生ブラジル帝国は再度ウラン製錬所の稼働をさせる事になる。

原子力研究所とアングラ原子力発電所

90年代になり、国内にて初のウラン製錬所が造られ、続いて帝室直轄州のレゼンデ市に原子力研究所が開所する。
原子力研究所はウラン精製の施設を管理しながら、ついにアングラ原子力発電所において原子炉の1号基が稼働を開始した。
アングラ原子力発電所帝都リオデジャネイロからサンパウロ市にかけての新生ブラジル帝国中枢部の電力を賄うべく、当初は4号基まで計画されていたが、2号基の稼働後、ウラン製錬所のコストがあまりに高騰した事から閉鎖され、3号基以降は計画が白紙となった。
やがて、国内での(主にアングラ原子力発電所)での需要に対応する分を産出する為に、第2の製錬所が建造され、年間350Utと言う往年の35%ほどのウラン精製を行うのみとなっていた。
21世紀に入ると、新たに3番目の製錬所の建造案が上がり、それに伴いアングラ原子力発電所3号基の計画が再開される。
これには日本国からの技術協力があり、無事3号機は稼働を開始。
続いて4号基の建造と、第3の製錬所建造が急ピッチで進められ、これが完成すれば最小でも1300Ut/年のウラン精製が可能と原子力研究所は産出している。

21世紀のエネルギー

21世紀に入ると、B.E.S.(ベス)の保有する国内の火力発電所の老朽化が目立つようになる。
そこに追い打ちをかけたのが、リオグランデ・ド・ノルテ州?を中心とした新生ブラジル帝国北東部油田地帯?の産出量低下である。
これらを受け、新生ブラジル帝国ベロ・モンテダム?を建設し、11,233MWの発電量を確保するが、やはり地域原住民等の抵抗が有り水力発電の限界を感じ始める。
そこで白羽の矢が立ったのが風力発電である。
元々、北東部では年間通じて強い風が吹くため、風力発電は大成功を収める。
特にリオグランデ・ド・ノルテ州?は消費電力の50%を風力発電において賄うことになり、国内での風力発電の総量は12.763GWとなった。
そして海洋調査により南米プレソルト海底油田が発見されるが海底2,000m、更に地下1,500mと言う油田には買い手がつかなかった為に、B.E.S.(ベス)による独占状態に近くなった。
B.E.S.(ベス)経営陣は、これによる国内需要の打開を図るべく、火力発電所を天然ガス発電所へと切り替え、施設を修復し始めた。
また、バイオマスエネルギーは軍部にも影響を与え、空軍のターボプロップ練習機だけにとどまらず、ボト級潜水艦のAPI機関もバイオエタノールエンジンを採用するなど、シュアを広げていったため、遂に水力発電60%、バイオマス発電10%、風力発電10%、天然ガス発電10%と言う国内電力供給率に至った。

新たな模索

これらの状況にも関わらず、ファベーラを中心とした盗電問題は一向に解決しなかった。
そこで提案されたのが、太陽光発電である。
既に国内最大の軍港であるアラトゥ海軍基地太陽光発電施設(187MWp)と、国内最大の軍事地帯であるパラノア湖畔?太陽光発電施設(1.101MWp)と言う、中南米最大規模の太陽光発電施設を建設していた新生ブラジル帝国だが、軍事基地補完にのみ使用していた太陽光発電を、コミュニティ単位、家庭単位で展開し、電力の個人需要を太陽光で賄うべく計画を進めている。

最後に

これらのエネルギー供給計画は水力発電50%、バイオマス10%、風力発電10%、天然ガス発電10%、太陽光発電8%、原子力発電2%、その他10%を目安に、2030年完成を計画している。