架空国家を作ろう 第2.6世界線 - 核戦略課(カリフォーニエン=ドイツ)
 核戦略課とは、プロイセン参謀本部内に設置されている部局である。本稿ではこれを説明すると共に、カリフォーニエン=ドイツの核戦略についても併せて記述する。

概要

 カリフォーニエン=ドイツ国防軍が保有する核兵器の運用や調整を行い、さらに核兵力を使用する際の作戦立案にも関わるプロイセン参謀本部直属の部局である。所属は第一作戦部。核兵器を扱うというその任務上、第一作戦部の中でも最も機密が多い部局であり参謀本部付属参謀でさえも詳細を把握している者は少ないとされる。

歴史

 神聖アメリゴ帝国よりカリフォルニア州、ハワイ州を購入した際の混乱により、少なくない量の核戦力がカリフォーニエンに残された。当初旧連邦共和国政府は核兵器を全て廃棄処分する方針であったが、カリフォーニエン=ドイツ建国後参謀本部は核兵器が北米大陸で最も小国な我が国を守るには戦略的にも戦術的にも必要不可欠な防衛手段であると主張、これにより同国は核武装国家となった。核兵器使用には極めて慎重かつ高度な判断が求められるため、数人の参謀に任せるには負担が高すぎることから、参謀本部直属組織として核戦略課が創設される運びとなった。

カリフォーニエン=ドイツの核戦略

 国防軍の核兵器使用プロセスの大前提として、まず核兵器の使用権は皇帝に帰する権限の一つとして明確に定められている。本来皇帝のみ使用を許可することができるが、有事には迅速な対応が求められる場合も多く、これでは意思決定プロセスに時間がかかる。そこで、非常時に限り、四軍総司令官ならびに参謀総長が核兵器使用の許可・命令権を一時的に認められている。つまり、陸軍総司令官、海軍総司令官、空軍総司令官、海兵隊総司令官と、参謀総長である。しかしこれはあくまで皇帝に意見具申している時間がないほど緊迫した事態に限られるのであって、実際には戦時においても核兵器の使用権は原則として皇帝にのみ許されている。これはあまりに破壊的な威力を有する兵器は国家間の荒廃にとどまらず、地球人類全体に多大な影響をもたらすため、その全責任を負うことを考慮された結果皇帝のみ有する絶対的権利として定められたのだった。また、非常時であっても各将官は事後報告が義務付けられ、核兵器の使用、および極めて緊迫した非常事態であったかが厳しく追及される。そしてもちろん、使用した際には皇帝ではなく実際に使用を命令した者に責任が帰属する。国防軍では、以上の事柄を全兵士、全士官らに教育している。
 現空軍大将は国土防衛は核兵器なしでも充分可能として、核武装そのものに反対の立場である。ただし現実的な判断で即時撤廃は難しい、とも考えている。
 カリフォーニエン=ドイツ国防軍の核戦力は大部分がSLBMに頼っている。旧米領時代の核ミサイルを改造し転用したものと、新たに独自開発したものが配備されている。また東部の砂漠地帯に有事の際核地雷原を設置するという意見が過去に出たが、反対多数で決定に至っていない。
 また、国防軍は現在核兵器に代わる手段として、サイバー部隊の育成と燃料気化爆弾の配備に力を入れている。核兵器は放射能による汚染などデメリットも大きい割に高コストかつ威力が限定的な場合もあることが先進各国が共通して指摘する点である。一方で仮にある国の通信網を破壊し、インターネットの使用を1日間止めただけで、鉄道や高速道路網では大規模事故が多発するし、大規模ダムや原子力発電所はコントロール不能に陥り甚大な被害をもたらす。そして通信手段を奪われた軍事衛星はその国にとって空を漂うただ鉄の塊と化すので、データリンクに基づかない人力による不正確な射撃になる。医療への影響も無視できない。そして大抵の場合、これらは1台から多くてもほんの数台のコンピュータさえあれば可能になるのである。核兵器を発明した人類は、次にどこへ向かうのであろうか。2020年現在、地球の終末時計は過去最悪の1分40秒前となっている。人類全体がこの問題に真剣に取り組み、21世期こそ、戦争のない平和な世界が訪れることを筆者としても願わずにいられない。