架空国家を作ろう 第2.6世界線 - ワルキューレ(戦車)
ワルキューレ(戦車)
基本情報
種類主力戦車
開発国エーレスラント連合王国
フォンセーズ自由国
バルカン・スラヴ連邦共和国
運用者エーレスラント陸軍
エーレスラント海兵隊
建造2020年12月10日
製造ノーマン・ダイナミクス
性能
全長9.46m
車体長8.43m
全幅3.40m
車体幅2.94m
全高2.58m
重量40.2トン(軽荷)
49.2トン(常用)
懸架方式油気圧式
行動距離500km
主砲Rh44G 44口径120mm滑腔砲
副武装M3 15.2mm機関銃(同軸)
M322 装甲化15.2mm機関銃砲塔(左前面車長ハッチ上)
携行弾数48発(主砲)
3200発(15.2mm機関銃)
行動距離500km
速度120km/h以上(整地)
100km/h(不整地)
60km/h(障碍地)
エンジンNE LouisX12A
120°X型12気筒液冷4サイクルディーゼルエンジン
出力2800kw/3500rpm(定格60分)
2000kw/2700rpm(常用)
トルク7600Nm/2700rpm
スプロケット出力2000kw/3500rpm
出力重量比73.1hp/トン(満載)
加速性能0-200m: 14.2秒
0-500m: 35.8秒
登坂性能40°以上
乗員3名(車長、砲手、操縦手)
エンジン
名称NE LouisX12A
作動方式ガスタービン過給ディーゼル
エンジン120°X型12気筒液冷4サイクルディーゼルエンジン
全長1,288mm
全幅878mm
全高760mm
ボアストローク152mm×178mm
排気量48.8L
過給圧18.8bar
燃料噴射圧2.2bar
平均有効圧縮比60.0
燃料消費率108g/kwh
燃費255m/L(最大搭載時)
冷却液容量100L
潤滑液容量80L
乾燥重量1400kg
出力2800kw/3500rpm(定格60分)
2000kw/2700rpm(常用)
トルク7600Nm/2700rpm
トランスミッション
名称DCVT-4
種別無段変速機
方式油圧機械式無段変速機
全幅1978mm
全高760mm
乾燥重量3280kg
装甲
装甲配置コヒーレンシャブル装甲(砲塔防楯)
複合装甲(砲塔正面)
コヒーレンシャブル装甲(操縦室正面)
特殊防弾鋼(車体)
有効装甲厚1660mm(砲塔)
1250mm(操縦室正面)
230mm(車体VP)
特殊装甲コヒーレンシャブル装甲
拘束セラミック装甲
体積あたりの防弾効率3.87(コヒーレンシャブル装甲)
1.77(拘束セラミック装甲)
質量あたりの防弾効率8.80(コヒーレンシャブル装甲)
3.41(拘束セラミック装甲)
増加装甲内装モジュール式
ベトロニクス
C4ISTARコンバータシステム
操縦補助装置E/VCQ-2
多機能FLIRE/MAG-18
射撃管制装置E/MRG-21
全周光学DASE/MLQ-90
捜索用LIDARE/MRQ-17
FCイルミネーターE/MRG-83
全周光学DASE/MLQ-90
アクティブ防護装置エイレーネM



概要

ワルキューレは2018年に制式化されたエーレスラント陸軍の主力戦車で、一般的には現在世界で唯一の第4世代戦車に分類される。

開発募集の際には
  • 現在世界で運用されているいかなる戦車よりも高い正面防護能力を有すること
  • 側面において列国の主力戦車と完全に同等の装甲防護力
  • 敵の全ての装甲車両を圧倒する機関砲火力
  • ネットワーク戦への適応とアップデートマージンの確保
という厳しい要求が布告されたものの、ノーマン・ダイナミクスは先進的な材料技術を駆使してこれを完全に満たす主力戦車を製作した。

特に厳しいとされた装甲防護力の要求については、拘束セラミック装甲を拘束に必要なサイズよりも厚いナノクリスタイル鋼材ケースに挿入したシンバーン装甲によって実現した。セラミックと防弾鋼の拘束界面は臨界合金で圧縮蒸着されている。臨界合金はその名の通り、ケースのNC鋼を貫いた侵徹体のエネルギーにより化学的な臨界に達する金属である。これ自体に防弾能力はないが、臨界に達した瞬間、物性が大きく変わり、その波及は時間依存的である。すなわち、コヒーレントなエネルギー束であるAPFSDSや成型炸薬弾のエネルギー伝達を分散させるはたらきを示している。衝撃波ではなく、固体→臨界への相転移エネルギーとして侵徹体のエネルギーが伝播するため、従来の複合装甲における拘束セラミックへの負荷分散のみならず、圧縮ケース全体に負荷を分散させることが可能となった。衝撃波を外界面(車体外側)に誘導するため、外側に向かうほど低くなるよう拘束圧力に勾配がかけられており、突入角が甘いと跳弾が発生する(実際にはAPFSDSの着弾により瞬間的に膨張したシール合金の圧縮波だが)。

特徴

ワルキューレの最大の特徴といえるのがその重量で、全備重量49.2tと一般的な第3世代歩兵戦闘車と比べ20t以上重く、レオパルト2A5と比べても10トン程度しか違わない。一方で寸法はかなり圧縮されており、戦車並みの前方60°防護を実現している。加え取り外しの容易な外装式モジュール装甲を採用しており、これを全て取り外すと45t程度となる。

一般的な戦車では大重量の車体をそのまま輸送することは一般の10×10トレーラーでは難しく、輸送には車体と砲塔を分離して運ぶか、戦車より高価な12×12装軌運搬車を用いる必要があり、泥濘に埋まった春の大陸での輸送には難があった。しかしワルキューレではモジュール装甲を取り外すだけで特に分解などせずに、ナウマン歩兵戦闘車の輸送に使われるLVSR大型トレーラーや有事に数を揃えやすい民間の大型トレーラーでの輸送が可能となるため、戦略的な機動性が大幅に向上している。

装甲

この54.3tという重量を実現するためレオパルトなどの第3世代MBTのスタンダードサイズより一回り小型化し、東側戦車に近い寸法に落とし込んだ。新開発の複合装甲により防御力を下げることなく軽量化を実現した。複合装甲のセラミックバルク製造を担当しているオーデンセ重工業から、地上5階から落とされた無傷のバルクが試験動画とともに公開されている。新素材の複合装甲は極めて強靭で、現状の列強国のあらゆる戦車砲弾に抗堪できるとされる。車体及び砲塔正面は55口径砲で射撃した3BM67 125mmAPFSDS(装甲貫徹力900mm)及び120mmHEAT-MP DM12A2(装甲貫徹力600〜700mm)に耐えられるレベルがあると思われる。また、装甲バルクは側面からの35mmAPDSには耐えられることが試験で証明されており、後継であるワルキューレも同等以上の防御能力を有すると推定される。

装甲配置

正面装甲
砲塔正面はレオパルトのような垂直な装甲ではなく、楔形の装甲モジュールが配置されており、これは耐圧勾配ステートセラミックによるAPFSDSの衝撃波ビーム拡散を狙った一種のコヒーレンシャブル装甲である。それに加え砲塔側面にもモジュール装甲が装備され、側面の防御力が向上している。
砲塔側面モジュール
砲塔側面のモジュールは現状ではルクレールや10式などと同様に工具ケースを兼ねた中空装甲になっており、対戦車ロケット弾による攻撃を意識したものと思われる。オスロ兵器廠ではワルキューレの装甲を開発する際に、オスマン連邦から購入したRPG-29対戦車ロケット弾による耐弾試験を行っており、正面だけでなく砲塔側面もこれに耐えられるレベルであるとしている。
その他防護区画
また、量産型も後部のバスケットは試験車両と比較して二回りほど大きくなっているが、これも対戦車ロケット対策のスラット装甲としての機能を持たせているためとされる。

市街地戦への対応

近年では市街地戦闘の増加によってゲリラなどによるATMからの攻撃が脅威となっており、今までのように正面だけでなく全方位からの攻撃が想定されるようになった。そのため世界各国の戦車ではこれに対抗できる全周防御がトレンドとなりつつあるが、このトレンドに反してワルキューレは大胆な軽量化を実行した。それでもスレイプニル歩兵戦闘車のバイタルパートのほとんどが複合装甲で覆われており、コスト増大を躊躇わずに軽量化と全周防御を両立した。現在配備されている車両は50.5tだが、これらのモジュラー装甲を全て装備すると最大で55tになるとされる。これらの装甲はルクレールAZURのような車体側面用の増加装甲で、側面からのATM攻撃や自己鍛造弾攻撃に対処することが出来るようになる物と思われる。

ベトロニクス

C4ISTAR

第4世代戦車の基本装備とも言える、C4Iによる車両間データリンクシステムがMBTとしては初めて搭載された。これは自車の位置や味方の位置を野外戦術データリンク(FTDDL)により情報共有することで、車内モニターのデジタルマップにリアルタイムに敵味方情報が表示されるというものである。この共通状況図はエーレスラント統合規格によって生成されるため、車長の20インチのディスプレイから陸海空全てのセンサーのデータにアクセスできる。FTDDLに対応させる近代化改修は全軍を挙げて行われており、数年のうちに、陸軍管轄のOH-1観測ヘリやAH-1攻撃ヘリのみならず、空軍のJAS-49戦闘機、海軍のエシャロット級駆逐艦、海兵隊のJAS-42Bなどともデータリンク出来るようになり、戦車部隊は作戦環境をほぼリアルタイムで受けながら行動が可能になる。

砲手用照準装置

砲手用サイトは可視光およびIRカメラが搭載されており、従来は接眼式だけだった照準器もタッチパネル式大型ディスプレイとなり、射撃ボタンだけでなく画面をタッチし直接ターゲットに攻撃指示を出せるという。車長用のサイトはルクレールのような360度見渡せるタイプとなり、画像が車内ディスプレイに表示される。目標の捜索だけでなく照準も可能で、砲手の目標をオーバーライドすることも可能とされる。また、主力戦車としては世界で初めて視察照準系に4Kカメラを採用した。

照準警戒装置

砲塔の四隅には3つの窓を持つレーザー検知装置が装備されている。90式戦車のレーザー検知装置では前方180°しか検知することが出なかったが、ワルキューレでは全周囲からのレーザー照射を検知する事が可能となっている。

搭載されているものは、ノルウェーのNelva社のModel301MGと呼ばれるレーザー警戒システムで、同社が製造しているヘリコプター用のE/AVR-87の車両版である。このシステムはレーザーレンジファインダー、セミアクティブレーザー誘導用レーザー、及びレーザービームライディング誘導用レーザーに対応しており、360°範囲のレーザー照射方向を±0.01°という高精度で検知し、車内のディスプレイ及び警報音で搭乗員に知らせる。3つの窓があるのは各種レーザー種別及び波長に対応するためである。砲塔側面前部には発煙弾発射機が搭載されており、ナウマン歩兵戦闘車などの旧来のエーレスラント戦車と同様レーザー検知装置と連動して動作させることが可能とみられる。

操縦手用オプティクス

操縦手用に操縦手用ペリスコープ横に1基、車体前面に1基の4Kカメラが装備され、車体後部に取り付けられたカメラと共に映像をモニターで見ながら操縦出来るようになり、操縦性が大幅に向上している。通常カバーが掛けられているペリスコープ横のものが赤外線暗視カメラと思われ、車体前面のカメラはペリスコープの死角を補うためのものとみられる。第3.5世代戦車でも、夜間は操縦手は暗視ゴーグルを使用して操縦しなければならない車種は多く、操縦手用暗視装置の搭載は大きなブレイクスルーだと考えられている。

機動性

エンジン

ワルキューレは世界で初めて、実用的な定格3000ps級エンジンを搭載した実用的な主力戦車である。エンジンの名前はNE LouisX12A。このエンジンの特筆すべき点はターボコンパウンド過給システムというディーゼルエンジンにガスタービンを組み合わせたようなシステムを装備している点で、両者の優れた特性を持っている。

通常のディーゼルエンジンのターボチャージャーではエンジンの排気圧でタービンを回し、コンプレッサーを動作させることでエンジンの吸気量を増やして出力を増大させる。一方、ハイパーバー過給システムでは排気に燃料を吹き付けてその燃焼ガス圧でタービンを回すため、通常のターボチャージャーより高い出力を得ているのである。さらにこの過給システムは単体でガスタービンとして動作させることが可能で、出力38kwのAPU(補助動力装置)となり、待機時の電力確保やコールドスタートが容易になるというメリットも生まれた。

余剰出力を利用したトリム操縦

ガスタービンはコンプレッサーのほかにモーター直結型アキュムレーターに接続され、蓄圧を自動的に行なっている。定格運転時には過給に利用されなかった300kw程度のエネルギーが常時アキュムレーターに供給され、そのエネルギーをもって砲塔の旋回やアクティブサスペンションの調整を行う。これらの蓄圧能力により、ワルキューレは戦車としては世界で初めてのピッチングコントロール能力を獲得した。低速域でトルクが最大になるモーターを利用した電動アシストによる転輪の独立制御により、跳ねるような機動が可能になる。

速度性能

エンジン出力を重量で割った出力重量比は70ps/トン以上であり、この値は列国の主力戦車の2倍以上である。3000ps級エンジンの開発と併行してトルコンや流体クラッチ、無段変速機などの駆動系も改装したため、実際のドライブエンベロープはより広いと考えられている。NE LouisX12Aによる恵まれた諸条件により、ワルキューレは2秒未満で最高速度に達し、最高出力をそのまま60分維持しながら機動戦闘を行う能力を持つ。