全長約60m、直径約9.5m、空虚重量約24,000kg、満載時重量約800,000tの燃料タンクの後方にモジュール化されたロケット主推進システムを、先端部に宇宙船や貨物を搭載する。燃料タンクは軽量化の為に炭素繊維強化炭素複合材料を主に使用して作られており、空気中で二酸化炭素に変化しながら、大気圏突入と共に大半が燃え尽きるように設計されている。残った一部の部品は最終的に太平洋(直接軌道へ送る場合はフィリピン海の太平洋側)に落ちる。
構造は前方部の尖った形状を持つ先端部に液体酸素タンク、ロケット主推進システムに隣接する底部に液体水素タンク、液体酸素タンクと液体水素タンクの間にタンク間構造帯を配置する形となっている。液体酸素タンクの上部は平坦で、そのさらに上部の尖った部分は取り外し可能なノーズ・コーンである。
液体酸素タンクの容積は圧力約250kPa、温度-182.8℃の場合で約620㎥である。底面からロケット主推進システムへの供給管が伸びており、タンク間構造体の部分で機外に出る。その後は外壁に沿って軌道船との右側接続部分の中を通る。また、空気抵抗を除いた全ての液体酸素タンクの負荷は、フランジ加工をされたタンク間構造体に伝えられる。加えて、タンク内には液体の動揺および渦の発生を抑えるための抑流板が設置される。渦流抑制板は供給管を覆うように十字型に設置され、液体酸素の中に渦で気泡が生じることを防いでいる。
液体水素タンクは圧力約202kPa、温度-252.8℃の場合で約1,7146㎥である。前部ドーム、後部ドーム、そして四つの円筒によって作られており、円筒部は5本のリング状の桁によって接合され、負荷を分散する仕組みとなっている。この円筒部の負荷分散構造に代表されるように、液体水素タンクやタンク間構造体は負荷分散に細心の注意を払っている。液体水素タンクでいえば、最後部のリング桁もロケット主推進システムとブースターが発生した推力を、燃料タンクと宇宙船、そしてブースターの後部接続部を通して受け取り、残りの中間の三本のリング桁が、宇宙船からの推力と液体酸素供給管の負荷を受け取るように設計されている。
タンク間構造体は、液体酸素タンクと液体水素タンクを構造的に結合するためのものである。主な機能はブースターからの推力を受け取り、液体酸素タンクと液体水素タンクに配分することである。ブースターとの前部接続部は、タンク間構造体の上に180°で二箇所設置されている。タンク間構造体を通す形で梁が渡されており、接続部に対して機械的に締めつけられ、ブースターの燃焼中はその応力で梁が歪むことで負荷が接続部に伝えられる。また、ブースター接続部には、輪状の主桁が隣接しており、接続部で受け取った負荷を主桁に伝え、更にそこから接線方向の力がタンク間構造体の外壁へと分散される。さらに、外壁上には推力パネルと呼ばれる二枚の板があり、ブースターから受け取った軸方向への推力を、液体酸素タンクや液体水素タンク、隣接するタンク間構造体の、横梁で補強された6枚のパネルで構築される外壁へ分散される。また、タンク間構造体は制御機器の保護容器としても機能するように設計されている。
ロケット主推進システムは完全にモジュール化されており、新型エンジンの開発などに簡単に対応できるようになっている。エンジンは液体酸素と液体水素を使用する「
IF-201?」で、推力は約2MN、質量は約3.5tである。このシステムは使用される形態に従って様々な数とタイプの
IF-201?エンジンが利用される。ブロックAは4基の
IF-201?エンジンの初期型を搭載する。ブロックBは4基の
IF-201?エンジンの改良型を搭載する。ブロックCおよびDは5基の
IF-201?エンジンの改良型を搭載する。