架空国家を作ろう 第2.6世界線 - スレイプニル歩兵戦闘車
スレイプニル歩兵戦闘車
基本情報
種類歩兵戦闘車
開発国エーレスラント連合王国
運用者エーレスラント陸軍
エーレスラント海兵隊
製造ノーマン・ダイナミクス
性能
全長7.86m
車体長7.43m
全幅3.34m
全高2.58m
重量50.2トン(通常)
53.8トン(装甲追加)
乗員9名
乗員3名(操縦手+砲手+車長)
歩兵6名
懸架方式油気圧式
駆動系
エンジンNE-LouisX パワーパック
搭載位置車体右前部
駆動方式ディーゼル-ガスタービン複合エンジン
出力1530ps/1400rpm
排気量22.4L
出力重量比28.4ps/トン
変速機ハイドロスタティック型無段変速機
サスペンション独立セミアクティブ方式
燃料搭載量896L
速度80km/h(前進)
70km/h(後進)
航続距離450km
主砲
名称Meup 90口径35mm機関砲
弾薬規格35×394mm EDF弾
作動方式チェーンガン
冷却方式強制液冷
発射速度180発/分
装甲貫通力140mm(AIPHE/500m)
200mm(AIPHE/200m)
使用弾薬AIPHE(知能化徹甲榴弾)
3PHE(プログラマブル榴弾)
APFSDS
HEI
給弾方式ベルトリンク方式
携行弾数600発(歩兵戦闘車型)
1050発(火力支援車型)
副武装
副武装SIL-LR連装対戦車ミサイル発射機(砲塔)
D32 15.2mm機関銃(車長用機銃砲塔)
D35 7.62mm機関銃(同軸)
携行弾数SIL-LR連装対戦車ミサイル発射機:4発
D32 15.2mm機関銃:2000発
D35 7.62mm機関銃:7500発
装甲
装甲材質拘束セラミック装甲(車体バイタルパート)
NC防弾鋼装甲(車体/構造材)
モジュラーEIRA(車体側面)
有効装甲厚950mm(車体正面)
750mm(防楯)
700mm(車体側面)
C4ISTAR
C4I小隊戦闘システムコンバータB
共通状況表示システムVisible21 TR2
偵察データリンクRSTAL
陸軍戦術データリンクE/ULC-20
低速無線システムCotam
センサー操縦用LIDARE/VCQ-2
通信用PAAAE/VLQ-4
大口径FLIRE/MLR-5
捜索用ミリ波レーダーE/VPR-3
射撃管制用レーダーE/VPG-7
射撃管制用レーザーE/VNG-8
アクティブ防護装置エイレーネM



概要

スレイプニル歩兵戦闘車は2018年に制式化されたエーレスラント陸軍の装甲化重歩兵戦闘車で、一般的には第4世代歩兵戦闘車に分類される。

開発募集の際には
  • 側面において主力戦車と完全に同等の装甲防護力
  • 正面において装甲アップグレード未改修の主力戦車と同等以上の装甲防護力
  • 敵主力戦車を除く全ての装甲車両を圧倒する機関砲火力
  • 完全武装の歩兵6名の装甲区画内への収容能力
  • ネットワーク戦への適応とアップデートマージンの確保
という厳しい要求が布告されたものの、ノーマン・ダイナミクスは先進的な材料技術を駆使してこれを完全に満たす歩兵戦闘車を製作した。

特に厳しいとされた装甲防護力の要求については、拘束セラミック装甲を拘束に必要なサイズよりも厚いナノクリスタイル鋼材ケースに挿入したシンバーン装甲によって実現した。セラミックと防弾鋼の拘束界面は臨界合金で圧縮蒸着されている。臨界合金はその名の通り、ケースのNC鋼を貫いた侵徹体のエネルギーにより化学的な臨界に達する金属である。これ自体に防弾能力はないが、臨界に達した瞬間、物性が大きく変わり、その波及は時間依存的である。すなわち、コヒーレントなエネルギー束であるAPFSDSや成型炸薬弾のエネルギー伝達を分散させるはたらきを示している。衝撃波ではなく、固体→臨界への相転移エネルギーとして侵徹体のエネルギーが伝播するため、従来の複合装甲における拘束セラミックへの負荷分散のみならず、圧縮ケース全体に負荷を分散させることが可能となった。衝撃波を外界面(車体外側)に誘導するため、外側に向かうほど低くなるよう拘束圧力に勾配がかけられており、突入角が甘いと跳弾が発生する(実際にはAPFSDSの着弾により瞬間的に膨張したシール合金の圧縮波だが)。

特徴

スレイプニル歩兵戦闘車の最大の特徴といえるのがその重量で、全備重量52.2tと一般的な第3世代歩兵戦闘車と比べ20t以上重く、レオパルト2A5と比べても10トン程度しか違わない。一方で寸法はかなり圧縮されており、戦車並みの前方60°防護を実現している。加え取り外しの容易な外装式モジュール装甲を採用しており、これを全て取り外すと45t程度となる。

一般的な戦車では大重量の車体をそのまま輸送することは一般の10×10トレーラーでは難しく、輸送には車体と砲塔を分離して運ぶか、戦車より高価な12×12装軌運搬車を用いる必要があり、泥濘に埋まった春の大陸での輸送には難があった。しかしスレイプニルではモジュール装甲を取り外すだけで特に分解などせずに、ナウマン歩兵戦闘車の輸送に使われるLVSR大型トレーラーや有事に数を揃えやすい民間の大型トレーラーでの輸送が可能となるため、戦略的な機動性が大幅に向上している。

装甲

この54.3tという重量を実現するためレオパルトなどの第3世代MBTのスタンダードサイズより一回り小型化し、東側戦車に近い寸法に落とし込んだ。新開発の複合装甲により防御力を下げることなく軽量化を実現した。複合装甲のセラミックバルク製造を担当しているオーデンセ重工業から、地上5階から落とされた無傷のバルクが試験動画とともに公開されている。新素材の複合装甲は極めて強靭で、現状の列強国のあらゆる戦車砲弾に抗堪できるとされる。車体及び砲塔正面は55口径砲で射撃した3BM67 125mmAPFSDS(装甲貫徹力900mm)及び120mmHEAT-MP DM12A2(装甲貫徹力600〜700mm)に耐えられるレベルがあると思われる。また、装甲バルクは側面からの35mmAPDSには耐えられることが試験で証明されており、後継であるスレイプニルも同等以上の防御能力を有すると推定される。

装甲配置

砲塔正面はレオパルトのような垂直な装甲ではなく、楔形の装甲モジュールが配置されており、これは耐圧勾配ステートセラミックによるAPFSDSの衝撃波ビーム拡散を狙った一種のコヒーレンシャル装甲である。それに加え砲塔側面にもモジュール装甲が装備され、側面の防御力が向上している。

砲塔側面のモジュールは現状ではルクレールや10式などと同様に工具ケースを兼ねた中空装甲になっており、対戦車ロケット弾による攻撃を意識したものと思われる。オスロ兵器廠ではスレイプニル歩兵戦闘車の装甲を開発する際に、オスマン連邦から購入したRPG-29対戦車ロケット弾による耐弾試験を行っており、正面だけでなく砲塔側面もこれに耐えられるレベルであるとしている。

また、量産型も後部のバスケットは試験車両と比較して二回りほど大きくなっているが、これも対戦車ロケット対策のスラット装甲としての機能を持たせているためとされる。

近年では市街地戦闘の増加によってゲリラなどによるATMからの攻撃が脅威となっており、今までのように正面だけでなく全方位からの攻撃が想定されるようになった。そのため世界各国の戦車ではこれに対抗できる全周防御がトレンドとなりつつあるが、このトレンドに反してスレイプニル歩兵戦闘車は大胆な軽量化を実行した。それでもスレイプニル歩兵戦闘車のバイタルパートのほとんどが複合装甲で覆われており、コスト増大を躊躇わずに軽量化と全周防御を両立した。現在配備されている車両は50.5tだが、これらのモジュラー装甲を全て装備すると最大で55tになるとされる。これらの装甲はルクレールAZURのような車体側面用の増加装甲で、側面からのATM攻撃や自己鍛造弾攻撃に対処することが出来るようになる物と思われる。

ベトロニクス

第4世代戦車の基本装備とも言える、C4Iによる車両間データリンクシステムがMBTとしては初めて搭載された。これは自車の位置や味方の位置を野外戦術データリンク(FTDDL)により情報共有することで、車内モニターのデジタルマップにリアルタイムに敵味方情報が表示されるというものである。この共通状況図はエーレスラント統合規格によって生成されるため、車長の20インチのディスプレイから陸海空全てのセンサーのデータにアクセスできる。FTDDLに対応させる近代化改修は全軍を挙げて行われており、数年のうちに、陸軍管轄のOH-1観測ヘリやAH-1攻撃ヘリのみならず、空軍のJAS-49戦闘機、海軍のエシャロット級駆逐艦、海兵隊のJAS-42Bなどともデータリンク出来るようになり、戦車部隊は作戦環境をほぼリアルタイムで受けながら行動が可能になる。

砲手用照準装置

砲手用サイトは可視光およびIRカメラが搭載されており、従来は接眼式だけだった照準器もタッチパネル式大型ディスプレイとなり、射撃ボタンだけでなく画面をタッチし直接ターゲットに攻撃指示を出せるという。車長用のサイトはルクレールのような360度見渡せるタイプとなり、画像が車内ディスプレイに表示される。目標の捜索だけでなく照準も可能で、砲手の目標をオーバーライドすることも可能とされる。また、主力戦車としては世界で初めて視察照準系に4Kカメラを採用した。

照準警戒装置

砲塔の四隅には3つの窓を持つレーザー検知装置が装備されている。90式戦車のレーザー検知装置では前方180°しか検知することが出なかったが、スレイプニル歩兵戦闘車では全周囲からのレーザー照射を検知する事が可能となっている。

搭載されているものは、ノルウェーのNelva社のModel301MGと呼ばれるレーザー警戒システムで、同社が製造しているヘリコプター用のE/AVR-87の車両版である。このシステムはレーザーレンジファインダー、セミアクティブレーザー誘導用レーザー、及びレーザービームライディング誘導用レーザーに対応しており、360°範囲のレーザー照射方向を±0.01°という高精度で検知し、車内のディスプレイ及び警報音で搭乗員に知らせる。3つの窓があるのは各種レーザー種別及び波長に対応するためである。砲塔側面前部には発煙弾発射機が搭載されており、ナウマン歩兵戦闘車などの旧来のエーレスラント戦車と同様レーザー検知装置と連動して動作させることが可能とみられる。

操縦手用オプティクス

操縦手用に操縦手用ペリスコープ横に1基、車体前面に1基の4Kカメラが装備され、車体後部に取り付けられたカメラと共に映像をモニターで見ながら操縦出来るようになり、操縦性が大幅に向上している。通常カバーが掛けられているペリスコープ横のものが赤外線暗視カメラと思われ、車体前面のカメラはペリスコープの死角を補うためのものとみられる。第3.5世代戦車でも、夜間は操縦手は暗視ゴーグルを使用して操縦しなければならない車種は多く、操縦手用暗視装置の搭載は大きなブレイクスルーだと考えられている。