スペイン王国におけるスペイン王は
1981年憲法に規定されている通り、政治的権限を有さない。そのため、行政権は行政の長である首相および副首相、並びに内閣における閣議によって行政権が執行される。国王には儀礼的公務として元老院および評議会の招集の公務が存在し、年始から4月にかけて協議された法案、政令に関して、決定したものを国内に発布し施行する宣言を行うことができる。
立法権は元老院と評議会の二院に存在し、これを統合して国会と呼ぶ。元老院は6年、評議会は4年の任期をもち、首相はこのうち元老院から選出される。対して副首相以下の閣僚に関しては評議会および民間からの任命が首相に義務付けられている。議員は後述の各地方自治体からそれぞれ380議席と208議席が選挙によって選ばれる。この選挙の方式はどちらも大選挙区制をとっている。
司法権は王国最高裁判所が持ち、その権限は議会および内閣の司法的監視及び違憲審査権を有する。最高裁判所所長および裁判官は国民投票による信任で決定され、国民投票での不審が採決された場合、元老院ならびに評議会での弾劾裁判が行われる。違憲審査の権限は議会および内閣を優越し、違憲と判断されたものは直ちに、たとえ期間外であっても議会と内閣による再審議が行われるものとなっている。
スペインは大きく2つの区分が設置されている。1つは本国地方州、1つは島嶼群管轄区である。本国地方州はスペイン本国内における地方自治体であり、その政治権限は高く独自の州憲法を設置することができる。これは憲法に違反しない限りにおいて刑法、民法を再定義することが可能である。ただし、地方裁判所や最高裁がこれを違憲とした場合それは直ちに取り下げられる。
島嶼群管轄区は多数ある島嶼を政府が直轄で管理する地域で、政治権限は小さい。というのも島そのものの面積も人口も少ないため、高度な自治運営が不可能であると判断されているためである。基本的に政府から派遣された総督がこれらの島に存在するコミュニティを介して統治管理している。
実はこの他にポルトガル自治州が存在し、本国地方州よりも大きな自由自治が認められている。常に元老院と評議会での議席が認められる他、ポルトガル総督は旧ポルトガル地域住民の選挙によって決定することができる。またポルトガル自治州憲法はスペイン本国の憲法とほぼ同等の権限を有し、あくまでも同君下位国という立場を保持している。