エーレスラント空軍は
エーレスラント国防軍の航空作戦の遂行を任務とする軍隊である。航空部隊との意義は、陸地や海上の地理的な制約をほとんど受けずに地球上の全ての地点に到達できる事である。エーレスラントにおいて航空戦略思想を啓蒙した軍人セグロ・フォン・リーヒは、航空機の登場が戦争に決定的な影響を及ぼすことを強調している。前線から遠く離れた後方に攻撃目標が存在していても、それが上空から確認される限りは航空攻撃が可能なためである。前線から最も離れた政経中枢の首都、港湾や空港、重要な幹線道路などの任意の目標が破壊される可能性が出現したのである。開戦に伴う危険が高まるため、開戦は可能な限り回避され、また開戦した場合も極めて短期間で勝敗が決定するものと推測できる。この主張は即座に陸海軍の存在意義が消失したことを意味しないが、陸海軍にはない決定的な任務を備えた軍種として空軍の重大性を確立するものである。
エーレスラント空軍の作戦能力は航空機によって構成されている。開発時には単純非力な動力付きグライダーとも呼べないような航空機は、ブレーメン戦争で運動性や武装などが改良され、偵察機、戦闘機、攻撃機、爆撃機という軍用機の基本的な機種が成立する。この戦争を通じてドイツ軍の空襲を受けたスカンジナビア連合王国は1918年に世界で初めての独立空軍であるスウェーデン空軍を編制している。1930年代に金属素材の単葉機が登場し、航続距離、運動性、兵装が改善されただけでなく、フリースラントで開発された電撃戦において航空部隊は近接航空支援で敵前線に戦車が突撃を加える突破口を形成する役割を担った。新編されたエーレスラント空軍でも旧スカンジナビア空軍が運営していた近代的な防空システムを構築して本土への攻撃を退けた。また、空軍大学でもセヴァルスキーによる『空軍力による勝利』で戦略爆撃機とそれを護衛する戦闘機の生産を拡大が推進された。工学者ロバート・ゴダードはロケット工学の研究でジェット機やミサイルの基礎技術を導入している。1947年に新設されたエーレスラント戦略空軍では核兵器を運用するための戦略爆撃の能力を拡大し、長距離航空を支援するための空中給油機が導入されるようになる。空中給油を実施することでより幅広い地域にわたって航空戦力を展開することが可能となる。空軍の意義は21世紀の今もなお衰えを知らない。