ニールス・J・グレンジャー級駆逐艦
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arsenal_002 2020年10月18日(日) 20:38:43履歴
ニールス・J・グレンジャー級駆逐艦 | ||
|---|---|---|
 | ||
| 基本情報 | ||
| 種類 | ミサイル駆逐艦 | |
| 同型艦 | 75隻建造予定 | |
| 原開発国 | エーレスラント連合王国 | |
| 運用者 | エーレスラント海軍 | |
| 建造 | 2009年4月〜 | |
| 就役 | 2012年11月〜 | |
| 建造費 | 37億6500万ELC | |
| 建造所 | オズワルド海軍造船廠 オースティン造船所 | |
| 性能 | ||
| 満載排水量 | 17,970トン | |
| 全長 | 193.2m | |
| 水線長 | 189.3m | |
| 全幅 | 25.3m | |
| 吃水 | 9.9m | |
| 機関方式 | 統合電気推進 | |
| 主機 | スティングレイ33G HTSモーター×4基 | |
| 軸出力 | 23.5MW(56,591hp)×4 | |
| 推進器 | ウォータージェット推進器×4軸 | |
| 電源 | R1D 鉛冷却原子炉 (52.5MW)×2基 Etude70 ガスタービン発電機(4.6MW)×4基 | |
| 速力 | 35kt以上 | |
| 連続行動期間 | 60日以上 | |
| 乗員 | 操艦要員 | 105名(士官17名+曹士88名) |
| 航空要員 | 60名(士官11名+曹士49名) | |
| 司令部要員 | 最大72名 | |
| 武装 | ||
| 名称 | 装備数 | |
| L28 MVLS | 16基128セル | |
| Mk.70 6インチ砲 | 2基 | |
| Mk.73 2インチ速射砲 | 2基 | |
| Mk.118 GCIS | 4基 | |
| センサー | ||
| レーダー | 名称 | 用途 探知距離 |
| E/SPY-1 | Xバンド多機能レーダー 最大320nm(600km) | |
| E/SPY-8 | Sバンド広域捜索レーダー 最大540nm(1000km) | |
| E/SPQ-11 | 射撃管制予備イルミネーター | |
| E/SPS-12 | 対水上/航海レーダー 45nm(83km) | |
| EO/IR | 名称 | 用途 |
| E/SAS-13 | 光学監視装置 | |
| E/SAQ-14 | ミサイル早期警戒装置 | |
| E/SAG-19 | DIRCM | |
| ソナー | 名称 | 用途 |
| E/SQS-23 | 低周波ソナー | |
| E/SQS-31 | 中周波ソナー | |
| E/SQS-40 | 曳航ソナー | |
| 電子戦・対抗装置 | ||
| 電子戦装置 | 名称 | 用途 |
| E/SLQ-97 | 電波探知装置 | |
| E/SLQ-70 | 電子妨害装置 | |
| 通信装置 | 名称 | 用途 |
| シーバート�� | 衛星通信用 | |
| E/USG-6 | CEC用高速通信 | |
| E/USG-8 | 戦術データリンク用 | |
| 対抗装置 | 名称 | 用途 |
| E/SLQ-35 | 対魚雷デコイ装置 | |
| E/SLQ-84 | 対ミサイルデコイ装置 | |
| E/SLU-54 | チャフ・デコイ散布装置 | |
| C4ISTARS | ||
| テミスシステムBL3A | 戦闘指揮装置 | |
| E/SQQ-2 | 対潜戦闘システム | |
| Citation mod.4 | 衛星測的データリンク | |
| EUPHENICS | 共通状況図生成装置 | |
| NAVTAC mod.11 | 作戦戦術データリンク | |
| JCS Mk.2 | 統合軍作戦システム | |
概要 
ニールス・J・グレンジャー級駆逐艦はエーレスラント海軍のミサイル駆逐艦である。エシャロット級駆逐艦の後継として開発され、フライト2A以前のエシャロット級を置き換える。船体の設計は前級のエシャロット級を踏襲し、前級同様の高いステルス性と強力な対地攻撃能力を併せ持つ。新しい戦闘システムの導入により、エシャロット級が持たない高度な艦隊防空能力を手に入れている。
任務
ニールス・J・グレンジャー級の開発に際してはヴァイキング級の護衛として空母打撃群の防空中枢を担うこと、統制・打撃戦力として沿海域で沿海域戦闘艦とともに対地支援を行うこと、揚陸艦として小規模な揚陸遂行能力があることなどが求められた。1番艦「ニールス・J・グレンジャー」を筆頭に75隻の建造が予定されており、旧式のエシャロット級を完全に置き換える予定。建造は年26隻ペースで行われ、初年度は34隻が調達される。
設計
船体
低RCS船体
グレンジャー級はエシャロット級より40%大きいにもかかわらず、RCSは漁船に近い。グレンジャー級のタンブルホーム船体と複合デッキハウスはレーダーの反射を極限することで知られている。弾道ミサイルの材料にも用いられているCFRPを用いた複合デッキハウスはセンサーと電子機器の大部分を取り囲んでいる。導電性を持つCFRPにより、電波ステルスはもちろんのこと、高放射線領域におけるある程度の活動能力も確保している。これらの電波ステルスを意識した上部建造物は、通常の駆逐艦よりもレーダーで発見するのが50倍難しいと言われている。ただし、混雑した航路の横断や悪天候下での運用など、他の船舶による非戦闘状況での安全のため、レーダーリフレクターを普段は利用している。
静粛性の追求
放射雑音レベルはロッテルダム級潜水艦?のそれに匹敵する。航行時の静粛性を意識した船底設計によって発生した側面に沿ってみぞれ状の水により、マック内の受動的な冷気誘導を発生させ、結果として赤外線放射すら大きく減少させる。
上部構造物
船体中央にデッキハウスと呼ばれる大きな上部構造物が設けられており、単純な平面で構成された壁面はいずれも内傾しているため、上部構造物は多角錐型になっている。煙突はこの上部構造物に収められていて、天井部に開口部があるだけである。炭素繊維などの複合材料で作られた壁面には多数の開口部が設けられて、同一平面を成した平面アンテナや電子光学機器の観測窓、信号灯が埋め込まれており、統合複合材料デッキハウス・開口（Integrated composite deckhouse & apertures、IDHA）と呼ばれている。他の艦では当たり前のはしごや手すり類、燃料補給ステーションなどの突起物は外面から見える位置には露出しない。艦橋の窓は、上部構造物前部のやや低い位置にあり、船室の窓は基本的に設けられない。
二重船殻
船体は内側と外側の二重の側壁を備えており、二重船底と合わせて、後部の一部を除く船体は二重船殻を形成している。
機関
統合電気推進方式
グレンジャー級の機関は原子力による統合電気推進方式(NIPS)である。これは、電気推進に用いるための電力と、艦船内の他の用途の電力の電源を共用化する技術であり、高度な電力制御技術と高性能の電動機が必要とされるものの、電力配分・機関運転の適正化や維持コスト低減、水中騒音の抑制など多くの利点がある。本級の場合、電源はいずれもガスタービン発電機とされ、主発電機としては出力60メガワット (80,000 hp)のHS43ガスタービンエンジンが2基、補助発電機としてはSI-4.1が2基、搭載されている。1面増えたSPY-3に加えて新たに広域捜索レーダーであるASDRを搭載しているため、要求電力量はエシャロット級の倍近くに達している。このためMT30よりもさらに大出力のHS43の採用に至った。電源は高圧給電の標準とされている4610V給電である。推進機構としては、スタークインダストリーズ製の高温超伝導モーターが搭載されている。−140℃で超伝導となるBSCCOと呼ばれる素材を利用したモーターであり、推進時のロスが大幅に低減された。
R1D鉛冷却式原子炉
主発電機はR1D鉛冷却炉であり、70%の超高濃縮ウランを利用する金属冷却式の原子炉である。高温特性に優れている鉛冷却炉は、HTSモーターの二次冷却に必要な水素を自己完結的に供給することが可能で、爆発性の液体水素を船内に貯蔵しなくてよい利点がある。ポンプジェットプロパルサーを動かすHTSモーターは、冷却に液体ネオン、二次冷却系に水素を利用するが、緊急時は冷凍機のみを動かし、液体窒素を用いた二次冷却を行うことも可能である。
ポンプジェットプロパルサー
本級は極めて優れた運動特性を有しており、全速航送時でも8船長以下で360度旋回が可能であり、30ノット・満載状態では、3船長で180度回頭できる。
装備
C4ISTAR
本級の戦闘指揮システムとしてテミスシステムが利用されている。テミスシステムシステムはエーレスラント海軍の水上艦に搭載されている戦闘システム。対空、対潜、対艦、対地というあらゆるドメインにおいての戦闘を円滑に進めるため設計された情報処理装置と、意思決定支援モジュール、そして火器管制システムから構成される。テミスシステムを搭載した艦艇では、センサーから得られた情報は全て中枢のテミス戦闘システム(TCS)の中央処理装置にフィードされ、処理された情報がディスプレイシステムに表示される。スタッフがマニュアルもしくはオートで判断した目標に対して、多機能火器管制システムが自動的に選択された武器を使用する。
自律戦闘能力
テミスシステムの特徴として、極めて短いリアクションタイムと自律補完可能な射撃管制レベルの情報共有能力が挙げられる。イージスシステムをはじめとする旧来の戦闘システムと大きく違う点として、テミスシステム搭載艦では他のユニット(早期警戒機、戦闘機、僚艦、潜水艦)などが受け取った情報をもとに射撃管制レベルの共通状況図を生成できる。完全に円滑な通信が得られていない状況においても、テミスシステムはAIの支援のもと、射撃管制レベルのセンサー情報を合成することができる。敵の未来位置を予測して射撃することは、理論的には全く難しいものではないが、超音速でこちらに迫る対艦ミサイルや、秒速数kmで高度1000kmを飛翔する弾道ミサイルに対しても自律的な補完による射撃ができることは特筆すべき能力である。
光学監視射撃照準スイート
冷却が必要なハイエンドの光学監視射撃照準スイート(EODAS/TS)システムを装備しており、艦表面全体に大量の冷却液を循環させている。これらの大量の冷却液の二次冷却装置やヒートシンクは海水であり、水温が10℃以上にならない高緯度地域での戦闘では最大限のパフォーマンスを発揮できる一方で、水温が高い高緯度地域でのパフォーマンスの低下が懸念されていた。最新のベースライン3Aでは、パフォーマンス低下を極限しながら消費電力を最小化するための制御システムのアップデートが入ったほか、ローパフォームモードでの作動が可能になっている。
ただしこれらのパフォーマンス低下は、主にE/SPY-7の大量の半導体素子から発生する放熱であり、見通し線内大量迎撃フェーズを除けば、極地で運用されている旧バージョンと同等のパフォーマンスを示すことが確認されている。
ただしこれらのパフォーマンス低下は、主にE/SPY-7の大量の半導体素子から発生する放熱であり、見通し線内大量迎撃フェーズを除けば、極地で運用されている旧バージョンと同等のパフォーマンスを示すことが確認されている。
テミス戦闘システム
テミスシステム搭載艦では、対空、対戦、対艦、対地などの幅広い目標に対する戦闘を展開できるよう、各種システムが接続されている。システムは高度に統合され、情報は4面の130インチディスプレイに投射される。
テミス火器管制システム
テミスシステムの中枢を構成する戦術情報処理装置がE/SYQ-12 テミス先進統合情報伝達処理中枢である。テミスAICCDはATDDL規格により陸海空のあらゆるレイヤーと接続することが可能になり、遠隔交戦の主力を占める。
共通交戦通信規格
超高速・大容量通信によって、テミスシステムを搭載した船では共同交戦能力を獲得した。全軍の通信は包括的戦場通信複合体による規格で定義されたCDMAもしくはTDMA、パワー軸直交式などのデジタル化暗号通信である。これらの通信は周波数ホッピング、スペクトラム拡散、パワー軸分割などを行うため、原理的に妨害ができない。空を埋め尽くすほどのチャフを撒いたところでノイズレベルをわずかに上げるだけで、運用に支障が全くない。民間の通信規格もミルスペックではないだけで同じものが使われている。
通信形式として時間分割型CDMA方式を採用しており、原理的に妨害不可能なシステムだが、ハードの破壊やEMPなどの不測の事態に備えて、軍用ではバックアップ回線を4系統以上用意する。戦闘機は慣性航法装置のみで指示されたエリアに急行できるよう、平時から訓練を行う。また、妨害波に対して逆探知を行い、速やかに電波発信源の排除を行う。
通信形式として時間分割型CDMA方式を採用しており、原理的に妨害不可能なシステムだが、ハードの破壊やEMPなどの不測の事態に備えて、軍用ではバックアップ回線を4系統以上用意する。戦闘機は慣性航法装置のみで指示されたエリアに急行できるよう、平時から訓練を行う。また、妨害波に対して逆探知を行い、速やかに電波発信源の排除を行う。
先進共通状況図
共同交戦能力とは、射撃指揮に使用できる精度の情報をリアルタイムで共有することにより、脅威に対して艦隊全体で共同して対処・交戦する能力を付与することである。このため、従来用いられてきた戦術データ・リンクよりもはるかに高速のデータ・リンク、および、これを運用できるだけの性能を備えた戦術情報処理装置が必要となる。従来のC4Iシステムは、ニア・リアルタイムの戦略級・作戦級システム、リアルタイムの戦術級システムの3つのレベルにおいて進化してきた。これに対して、テミスシステムを備えたC4Iシステムにおいては、従来リアルタイムと称されてきた戦術級システムよりもさらに応答時間を短縮することが要求されており、エーレスラント海軍では、武器管制の精度という新しい言葉でこの精度を表現しており、これによって作成される共通状況図は先進単一統合航空状況図(ASIAP)と称される。
テミス電子戦システム
E/SPY-7 、E/SPY-10を始めとするエーレスラント軍の主要な索敵/多目的レーダーはスペクトラム拡散方式を採用している。発信がブロードバンドであるため、チャフによって妨害することは極めて困難である。
対妨害通信システム
また、出力およびECCM装置自体も機載の電波妨害装置に比べて100〜1500倍程度の出力と電波強度を有するため、電波発信による妨害も極めて困難である。また、包括的戦場通信複合体のEOR能力により、一部のレーダーが妨害されたとしても、1つのレーダーが目標できればリアルタイムでその情報は全軍に伝達されるため、我が国の防空施設を完全に破壊するということはハードとしてのレーダーを全て破壊することと同義と言って差し支えないだろう。
電子妨害システム
こちらに向かってくる航空隊やミサイルなどに対して、テミスシステム搭載艦は積極的に電波妨害を行う。事前の電子情報収集によって得られた信号情報をもとに、第6世代のマルチバンドエミッターによって妨害電波を発信する。Vivaldiアンテナと呼ばれる新世代の妨害スイートが戦闘機には搭載されており、HF〜ミリ波まで幅広いバンドの電波を妨害可能である。空戦で主に利用される。
ジョイントセンシング
テミスシステムは統合戦闘システムとして、多数のハイエンドセンサーを必要としている。現代軍はもれなく旧来のプラットフォーム中心の戦い(PCW)からネットワーク中心の戦い(NCW)に移行しつつある。ネットワーク中心の戦いにおいて、通信は兵士の命綱であり、同時に敵を縛る投網でもある。そして、近年急速に発達しているフェーズドアレイレーダーは、もはやミサイルのシーカーにすら搭載され、曖昧なスウィーピングとチャフバーストによる欺瞞は意味を成さない。新世代の電子戦システムは恐竜的進化を遂げるこれらセンサー群に対して、対抗し、欺瞞し、標定する恐るべき戦闘装置として開発された。
対潜戦闘システム
テミスシステムの戦術ソナーシステムはRAVIシステムを踏襲した正統発展系となっている。E/SUQ-20複合対潜システムにより3系統のソナーが管制されている。バウソナーはE/SQQ-22もしくはE/SQQ-27のどちらかを選択するシステムだが、高価なSQQ-27を搭載しているのは本級や改装済みエシャロット級の一部に限られている。
武器管制装置
艦隊防空用の長射程IAMDシリーズ、個艦迎撃用のEMILIA、複合近接防空のALISで構成されたテミスシステムのレイヤードディフェンスは、世界で最も優れた艦隊の防空網である。テミスシステム搭載艦に護衛された対象を経空的手段で攻撃することは、6層のミサイル防空レイヤーを潜り抜けて、艦艇の近接防空を突破することを意味する。エーレスラント空軍は『費用対効果の観点から、テミス化された艦隊への攻撃作戦は通常の手段を用いて立案すべきではない』という見解を示している。
2018年のノルマン・プレップ演習において、テミスシステムを搭載したファン・ホルテン級ミサイル巡洋艦6隻を擁するプリンセッサ・デ・ユトレヒト打撃群?が第4空軍の33時間、234ソーティにわたる航空攻撃を完封した。この演習の結果は『テミスショック』として世界中に広まり、各国空海軍が艦隊防空のシステム化と対艦ミサイルのステルス化、超音速化を強力に推進するきっかけとなった。エーレスラント国内では防空群不要論が台頭したものの、カヴァンジャーロ第4空軍司令官(当時)本人が「テミスシステムは盾だが、それ単体では主導権は決して握れない。空軍の価値はその臨機性にある」としてその主張を退けている。
テミスシステムが築く防空レイヤーの中心がテミスシステム専用に開発されたIAMDミサイルである。IAMDは統合経空ミサイル防衛(Integrated Airbone and Missile Defense)のアクロニムで、有人機と対艦巡航ミサイルに偏っていた艦隊防空の交戦エンベロープを超音速ミサイルから弾道ミサイルにまで拡大した設計コンセプトに由来する。
IAMDの最大の特徴は特殊なシーカーと終末誘導方式にある。直径28インチの弾体先端部にはIIR-SARH複合式のシーカーが装備されている。共通交戦通信規格による時間直交型指令誘導を受けてミッドコースを飛翔し、シーカーが敵を捉え終末誘導シーケンスに移行する。長射程艦隊防空用途のIAMDミサイルだが、短距離AAMと同じ誘導系を持ち、射撃管制レーダーの逆探知による早期警戒が不可能となっている。また、冷却式赤外線画像探知-射撃照準システムの精度は極めて高く、幾何学的高周波ステルス設計により低RCS化されている航空機や巡航ミサイルなどに対しても機体表面の断熱圧縮により生じる熱によって探知するため、ステルス設計が意味をなさないメリットもある。
2018年のノルマン・プレップ演習において、テミスシステムを搭載したファン・ホルテン級ミサイル巡洋艦6隻を擁するプリンセッサ・デ・ユトレヒト打撃群?が第4空軍の33時間、234ソーティにわたる航空攻撃を完封した。この演習の結果は『テミスショック』として世界中に広まり、各国空海軍が艦隊防空のシステム化と対艦ミサイルのステルス化、超音速化を強力に推進するきっかけとなった。エーレスラント国内では防空群不要論が台頭したものの、カヴァンジャーロ第4空軍司令官(当時)本人が「テミスシステムは盾だが、それ単体では主導権は決して握れない。空軍の価値はその臨機性にある」としてその主張を退けている。
テミスシステムが築く防空レイヤーの中心がテミスシステム専用に開発されたIAMDミサイルである。IAMDは統合経空ミサイル防衛(Integrated Airbone and Missile Defense)のアクロニムで、有人機と対艦巡航ミサイルに偏っていた艦隊防空の交戦エンベロープを超音速ミサイルから弾道ミサイルにまで拡大した設計コンセプトに由来する。
IAMDの最大の特徴は特殊なシーカーと終末誘導方式にある。直径28インチの弾体先端部にはIIR-SARH複合式のシーカーが装備されている。共通交戦通信規格による時間直交型指令誘導を受けてミッドコースを飛翔し、シーカーが敵を捉え終末誘導シーケンスに移行する。長射程艦隊防空用途のIAMDミサイルだが、短距離AAMと同じ誘導系を持ち、射撃管制レーダーの逆探知による早期警戒が不可能となっている。また、冷却式赤外線画像探知-射撃照準システムの精度は極めて高く、幾何学的高周波ステルス設計により低RCS化されている航空機や巡航ミサイルなどに対しても機体表面の断熱圧縮により生じる熱によって探知するため、ステルス設計が意味をなさないメリットもある。
通信装備
グレンジャー級では従来までのようなマストは廃止され、ほとんどのアンテナも、上記のIDHA式上部構造物の傾斜壁面に固定式で取り付けられている。唯一例外の通信・電子戦用の回転式小型アンテナも上部構造物の上面前部に傾斜角を揃えた選択電波透過性の角型レドームに収められている。CECアンテナもエシャロット級と異なりE/USG-6と呼ばれる4面分散配置型の平面アンテナに変更されている。また、艦橋上部にはレドームボックスが備えられており、将来的な拡張にも耐えるよう設計されている。
武装
VLS
エシャロット級からの最大の変更が、軽武装化であり、3000トン近く拡大した排水量と甲板面積はほぼ全てが居住区の拡大に充てられている。ただし、VLSのセル数はエシャロット級を凌ぐ128セルに達しており、極めて強力な打撃力と防空力を発揮する。本級で装備されるVLSはMVLS Strike-Lengthと呼ばれる大型のVLSで、エシャロット級に装備されているGUHHよりも80cm深く、全長7.9mまでのミサイルを格納可能である。これにより新たにIAMD-XRなどの大型ミサイルを格納することに成功した。AHMAHAO25mm二重船殻のスリットにVLSを装備する方式は変わっていないが、本級ではエシャロット級では未装備だった後部甲板や艦橋構造物直前の前甲板にもVLSを装備している。ダメージコントロールが間の戦闘システムと隣接しており、完全に自動で統制される。被弾時には自動的にVLS区画への注水が行われ、外船殻がブローオフパネルとなるため従来型の構造物と比べて安全性が非常に高いと評価されている。VLSにはIAMD、LEAP巡航ミサイル、NORMAN対艦ミサイルを格納することが可能。
近接防空システム
CONDAC | |||
|---|---|---|---|
 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 エーレスラント空軍 | ||
| 種別 | 複合近接防空システム | ||
仕様 | |||
| 重量 | 10277kg | ||
| 全高 | 7.24m(システム全体) 3.85m(甲板露出部) | ||
| 運用要員 | 4名 | ||
| 交戦射程 | 5〜15000m | ||
| 射高 | 最大6700m | ||
| 射角 | -7~85°(俯仰) 360°(旋回) | ||
| 目標 | 航空機 巡航ミサイル 短距離弾道ミサイル | ||
センサー | 捜索 | E/MPS-11 Xバンドレーダー E/MVQ-17 EODAS | |
| 追尾 | E/MPG-71 Kuバンドレーダー E/MAQ-19 EOTS | ||
武装 | ミサイル | 21連装ASMDS (RIM-255Bを発射可能) | |
| 機関砲 | NVGD 連装70口径35mm機関砲 | ||
本システムは、Mk.818 7砲身30mmガトリング砲と捜索レーダー、追尾レーダーが一体となった旋回砲塔と、E/SIQ-71(v2)射撃コンピュータ、その他の管制機器より構成されている。RIM-116J ARAMミサイルなどの防空兵器と同時に搭載する艦艇が多い。高い性能を持つ射撃管制装置によって、射程内であればかなりの防空能力となる。
使用可能なミサイル
IAMD-XR
IAMD-XR | |||
|---|---|---|---|
 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 | ||
| 種別 | 広域艦隊防空ミサイル | ||
仕様 | |||
| 重量 | 2695kg | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 全長 | 825cm | ||
| 翼幅 | 143cm | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 弾頭 | 225kg 指向性破片調整弾頭 | ||
| 飛翔高度 | 20〜74000m | ||
| 射程 | 600km(Low-High-High) 480km(Low-Low-Low) | ||
| 最大耐荷重 | ±50G | ||
エンジン | 1段目 | デュアルスラストブースター | |
| 2段目 | 可変推力固体ロケット | ||
| 弾頭 | サイドスラスタ | ||
| 操舵方式 | TVC+動翼+サイドスラスタ | ||
| 目標 | 航空機 巡航ミサイル 短距離弾道ミサイル 水上艦艇 | ||
誘導方式 | 中間誘導 | ESTAN INS | |
| 終末誘導 | SARH PRH 二波長IIRH | ||
飛翔速度 | 低高度(対流圏) | Mach4.6 | |
| 高高度(成層圏) | Mach6.0 | ||
IAMD-XRはグレンジャー級のために開発された艦隊防空ミサイルである。命中率と精度向上のためにデュアルバンドパッシブレーダーとサイドスラスターを備えている。発射されたIAMDは位置情報のアップリンクを受け取りつつ飛翔し、50km前後でXバンドレーダーを起動する。このXバンドレーダーのシーカーとプロセッサはAAM-7をベースに開発されている。目標の10km以内に接近すると、Kuバンドレーダーも起動する。KuバンドレーダーはPAC-3 MSEのシーカーをベースに開発されたシーカーであり、AIM-120Dをも上回る高い精度を有する。また、ミリはシーカーの発振には特殊な変調と周波数拡散技術が設けられており、最新世代の戦闘機でも探知することは困難である。知能化された自己防衛プログラムを有する機体においても、その能力はもっぱらXバンドシーカーのジャミングに振り向けられてしまい、ミリ波を照射されていることを判断することは困難であると、E/ASQ-239を装備した標的機への射撃試験で証明されている。誘導の終末段階では、ジンバルスラスト制御と動翼によるコントロールと併せて、PAC−3のようにサイドスラスターを噴射して位置の微調整を行いつつ直撃による破壊（Hit-to-Kill）を行う。弾頭は従来の指向性破片弾頭からリサリティエンハンサ弾頭に変更されており、大型機や超音速巡航ミサイルなどの比較的堅牢な目標も確実に破壊できるよう工夫されている。
原型機同様にデュアルスラストエンジンが採用されているが、高出力モードの出力は従来の2倍近くにまで向上しており、発射から4秒でマッハ5に加速する。高高度まで一気に上昇できるため、迎撃可能高度は60000mにまで拡大されている。最低射程は10km程度で、30km以内の目標に対しては発射後すぐにサイドスラスターを噴射して姿勢変更を行う。試験機では赤外線画像シーカーの搭載も考えられたが、シーカーのアンテナ利得との兼ね合いを考慮し採用は見送られ、代わりにミリ波レーダーが装備されてたという経緯がある。エンゲージオンリモートおよびローンチオンリモートの通信規格はIAMDと共通であり、ほかのIAMDサブモデルと同様テミスシステムベースライン3以降を戦闘システムを装備している水上艦からの発射が可能である。
IAMD-ER
IAMD-ER | |||
|---|---|---|---|
 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 | ||
| 種別 | 超長距離艦隊防空ミサイル | ||
仕様 | |||
| 重量 | 2695kg | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 全長 | 825cm | ||
| 翼幅 | 143cm | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 弾頭 | 225kg 指向性破片調整弾頭 | ||
| 飛翔高度 | 20〜74000m | ||
| 射程 | 600km(Low-High-High) 480km(Low-Low-Low) | ||
| 最大耐荷重 | ±50G | ||
エンジン | 1段目 | デュアルスラストブースター | |
| 2段目 | インテグラルロケットラムジェット | ||
| 弾頭 | サイドスラスタ | ||
| 操舵方式 | TVC+動翼+サイドスラスタ | ||
| 目標 | 航空機 巡航ミサイル 短距離弾道ミサイル 水上艦艇 | ||
誘導方式 | 中間誘導 | ESTAN INS | |
| 終末誘導 | SARH PRH 二波長IIRH | ||
飛翔速度 | 低高度(対流圏) | Mach4.6 | |
| 高高度(成層圏) | Mach6.0 | ||
テミスシステムが築く防空レイヤーの中心がテミスシステム専用に開発されたIAMDミサイルである。IAMDは統合経空ミサイル防衛(Integrated Airbone and Missile Defense)のアクロニムで、有人機と対艦巡航ミサイルに偏っていた艦隊防空の交戦エンベロープを超音速ミサイルから弾道ミサイルにまで拡大した設計コンセプトに由来する。IAMDの最大の特徴は特殊なシーカーと終末誘導方式にある。直径28インチの弾体先端部にはIIR-SARH複合式のシーカーが装備されている。共通交戦通信規格による時間直交型指令誘導を受けてミッドコースを飛翔し、シーカーが敵を捉え終末誘導シーケンスに移行する。長射程艦隊防空用途のIAMDミサイルだが、短距離AAMと同じ誘導系を持ち、射撃管制レーダーの逆探知による早期警戒が不可能となっている。また、冷却式赤外線画像探知-射撃照準システムの精度は極めて高く、幾何学的高周波ステルス設計により低RCS化されている航空機や巡航ミサイルなどに対しても機体表面の断熱圧縮により生じる熱によって探知するため、ステルス設計が意味をなさないメリットもある。
IAMD-LR
IAMD-LR | |||
|---|---|---|---|
 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 | ||
| 種別 | 長距離艦隊防空ミサイル | ||
仕様 | |||
| 重量 | 2695kg | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 全長 | 825cm | ||
| 翼幅 | 143cm | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 弾頭 | 225kg 指向性破片調整弾頭 | ||
| 飛翔高度 | 20〜74000m | ||
| 射程 | 420km(Low-High-High) 200km(Low-Low-Low) | ||
| 最大耐荷重 | ±50G | ||
エンジン | 1段目 | デュアルスラストブースター | |
| 2段目 | インテグラルロケットラムジェット | ||
| 弾頭 | サイドスラスタ | ||
| 操舵方式 | TVC+動翼+サイドスラスタ | ||
| 目標 | 航空機 巡航ミサイル 短距離弾道ミサイル 水上艦艇 | ||
誘導方式 | 中間誘導 | ESTAN INS | |
| 終末誘導 | SARH PRH 二波長IIRH | ||
飛翔速度 | 低高度(対流圏) | Mach4.6 | |
| 高高度(成層圏) | Mach6.0 | ||
ESCM
ESCM | |||
|---|---|---|---|
 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 | ||
| 種別 | 汎用超音速巡航ミサイル | ||
仕様 | |||
| 重量 | 3895kg | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 全長 | 820cm (RGM-223D) 655cm (RGM-223E) 430cm(RGM-223E) | ||
| 翼幅 | 277cm | ||
| 直径 | 66.0cm | ||
| 弾頭 | 454kg APHE(対艦/対装甲) 600kg DPICM(対地) | ||
| 飛翔高度 | 20〜28000m | ||
| 射程 | 900km(Low-High-Low) 450km(Low-Low-Low) | ||
| 最大耐荷重 | -8G(5秒) +25G(30秒) | ||
エンジン | 1段目 | デュアルスラストブースター | |
| 2段目 | ラムジェットエンジン | ||
| 弾頭 | サイドスラスタ | ||
| 操舵方式 | TVC+動翼+サイドスラスタ | ||
| 目標 | 水上艦艇 地上部隊 地上施設 | ||
誘導方式 | 中間誘導 | NEURON ESTAN INS | |
| 終末誘導 | ミリ波ARH 二波長IIRH PRH | ||
飛翔速度 | 中間 | Mach3.0 | |
| 終末突入時 | Mach4.6 | ||
RGM-223は、ノーマン・エアロスペース社製のHNIWを用いた固体燃料を主燃料とするNE-R43液体燃料ロケットエンジンを使用し、最大飛翔速度マッハ4.6、射程720kmの性能を誇るである。高高度飛行と低高度飛行の2モードを持つ。
高高度飛行モードでは45000mまで上昇し、目標直上でオグメンターに点火し、さらに加速。TVCとサイドスラスタによって操舵を行い、目標に向かって急降下で突入する。この時の速度はマッハ4.6に達する。低高度飛行モードでは13000mまで上昇し、レーダーの見通し線を掠めるようにマッハ3.5で緩降下し、最終接近時には50m以下の高度をとる。
アイスランドのヴィンケンマウ島における試射では、900kgの成型炸薬弾頭を使用した際に直径5m、深さ12mのクレーターを形成した。
EMILIA
発展型個艦防空多機能ミサイル。対艦弾道ミサイル迎撃、超音速対艦ミサイル迎撃、航空機邀撃、極超音速飛翔物体迎撃、対艦攻撃の5つのミッションを単体で行える新型の艦隊対空ミサイル。対艦弾道ミサイル迎撃ミッションではフィンを展開せずにM10まで加速し、先進4波長光波シーカーと21インチアクティブレーダーによって目標を認識、指向性爆砕破片弾頭によって破壊する。その他の対空ミッションでは10インチのフィンを展開、TVCと翼面操作によって最大60G機動を発揮する。アロー3のそれを応用した110kgの指向性爆砕破片弾頭は300m離れた敵機を撃墜可能。信管は近接信管と接触信管だが、対艦ミッションでは遅延信管も利用する。
エシャロット級は艦隊ワークホースとして、対地アタッカーや対艦ミサイルキャリアの任務に耐えることも要求されている。テミスシステムはこの需要に対応するため、RAVI巡航ミサイル測的システムを移植し、対艦ミサイル運用に対応させた。超音速ラムジェット推進式のASSMと、RCS0.001�岼焚次�環境赤外線観測量は従来機の6%未満の先進低観測性巡航ミサイル(RGM-278B ELMOC)の2系統が運用されている。
エシャロット級は艦隊ワークホースとして、対地アタッカーや対艦ミサイルキャリアの任務に耐えることも要求されている。テミスシステムはこの需要に対応するため、RAVI巡航ミサイル測的システムを移植し、対艦ミサイル運用に対応させた。超音速ラムジェット推進式のASSMと、RCS0.001�岼焚次�環境赤外線観測量は従来機の6%未満の先進低観測性巡航ミサイル(RGM-278B ELMOC)の2系統が運用されている。
ASSM
RGM-223は、ノーマン・エアロスペース社製のHNIWを用いた固体燃料を主燃料とするNE-R43液体燃料ロケットエンジンを使用し、最大飛翔速度マッハ4.6、射程720kmの性能を誇るである。高高度飛行と低高度飛行の2モードを持つ。
高高度飛行モードでは45000mまで上昇し、目標直上でオグメンターに点火し、さらに加速。TVCとサイドスラスタによって操舵を行い、目標に向かって急降下で突入する。この時の速度はマッハ4.6に達する。低高度飛行モードでは13000mまで上昇し、レーダーの見通し線を掠めるようにマッハ3.5で緩降下し、最終接近時には50m以下の高度をとる。
アイスランドのヴィンケンマウ島における試射では、900kgの成型炸薬弾頭を使用した際に直径5m、深さ12mのクレーターを形成した。
高高度飛行モードでは45000mまで上昇し、目標直上でオグメンターに点火し、さらに加速。TVCとサイドスラスタによって操舵を行い、目標に向かって急降下で突入する。この時の速度はマッハ4.6に達する。低高度飛行モードでは13000mまで上昇し、レーダーの見通し線を掠めるようにマッハ3.5で緩降下し、最終接近時には50m以下の高度をとる。
アイスランドのヴィンケンマウ島における試射では、900kgの成型炸薬弾頭を使用した際に直径5m、深さ12mのクレーターを形成した。
ELMOC
RGM-278はノーマン・エアロスペースが開発したQ28-NE-200エンジンを搭載した自律飛行が可能な艦対地巡航ミサイルである。ステルス性を考慮してレーダー反射断面積の低減を図った形状となっている。E/VLS-7に収納された状態では主翼及び垂直尾翼は折り畳まれており、空中投下後に翼が展開して亜音速飛行を開始する。その射程距離は2000km超とされ、敵の対空兵器の射程外からのスタンドオフ攻撃を可能としている。
投下後の誘導はGPS及び慣性誘導となっている他、テミス巡航ミサイル武器システムによる発射後の母機からのコース修正も可能となっている。また終末誘導は赤外線画像誘導によって行われ、2700kg貫通型弾頭を目標へと誘導する。
投下後の誘導はGPS及び慣性誘導となっている他、テミス巡航ミサイル武器システムによる発射後の母機からのコース修正も可能となっている。また終末誘導は赤外線画像誘導によって行われ、2700kg貫通型弾頭を目標へと誘導する。
BMD能力
前述の高い直撃性能から、海上終末弾道弾迎撃能力（SBT）が認められており、今年2月には3発の中距離弾道ミサイルの終末迎撃を試験用に設置したグレンジャー級が成功させている。自艦や護衛対象の空母への対艦弾道弾による攻撃も対処することができるため、他国のA2AD戦略に対する有力な対抗手段となることが期待されている。
新型CIC
本級においては、CICを発展させたSMC（ship's mission center）が設置される。これは従来のCICの機能のほか、主機操縦室や群司令部指揮所（TFCC）の機能も包括したもので、2層分の高さが確保されている。エシャロット級の後継でもある本級は、空母艦上機やHELOヘリコプター、自艦の対潜ヘリコプターの航空管制を行うこともあるため、SMCには航空管制官用のコンソールが16台用意されている。コンソールは高度に統合されており、本級1隻で1個の空母打撃群が擁する全ての航空機の管制を行うことが可能とされている。本級のC4Iシステムは、ズムウォルト級で採用された全艦コンピュータ環境に艦隊防空ミサイルの運用能力とIAMD能力を備えたものになっている。テミスシステムをもとに開発されたため、便宜的にテミスシステムBL3と呼ばれているが、対潜システムやトマホーク武器システムなども包括しており、テミス武器システムとテミス戦闘指揮システムに分けることが困難なものであるため、本級は準テミス艦などとも呼ばれている。このシステムはIAMD-XRとIAMD-MRの運用能力がインテグレートされており、将来的にこれらのミサイルの運用能力はエシャロット級などの旧型テミス艦に逆輸入される予定である。ベースライン3ではVSRとMFRの情報は完全に統合され、テミスディスプレイシステムに表示され、1000以上の目標を同時に追尾することができる。そのうち128の目標に対してはE/SPY-1によって照準が行われ、自艦の武器システム、もしくはNIFCCAネットワークに測的情報が伝達される。全艦コンピュータ環境と最新のテミスシステムを統合したこのシステムは相当に高価であり、システム全体の価格は1600億円程度とされている。
センサー
レーダー
主レーダーとしては、Xバンドを使用する多機能レーダー（MFR）であるE/SPY-1とSバンドを使用する広域捜索レーダー（VSR）であるAN/SPY-8が搭載される。AN/SPY-1はAESA式の固定式アンテナ4面による全周監視を可能としており、精密目標追尾・識別および射撃指揮のほか、遠達性に劣るXバンドを使用するにも関わらず、従来のテミス艦に搭載されているSバンドのE/SPY-44を凌駕する広域索敵能力を備えているとされている。グレンジャー級は３面だが、本級は４面のSPY-3 を装備しており、余剰能力で低空監視や航空管制を行うことが可能とされている。AN/SPY-8はASDR（Anti-Stealth Discrimination Radar）と呼ばれるAESAレーダーであり、LRDRをベースに開発された。Sバンドを使用し、４面のアレイを持つ。低周波のレーダーのため、ステルス戦闘機やシースキマーなどに対しては高い探知能力を誇り、JAS-49を480kmで探知可能とされている。BMDに関してもこのレーダーは有効に利用することが可能で、SPY-8とSPY−3の1面のアレイでスタンドアロンな弾道ミサイル迎撃を行う。海軍兵器開発局はこの能力を完全なIAMDと称している。これらのレーダーは、先進弾道ミサイル防衛戦略に適応する形で前進配備・警戒監視レーダーとしての役割も担うことが可能で、機動力の極めて高いTPY-2やSBXとしての運用も想定されている。ソナー・システムとしては、E/SQQ-90統合水中戦闘システム（IUW）が搭載される。これはエシャロット級フライトIIAのAN/SQQ-89(V)15をもとにした統合システムで、艦首のバウ・ドーム上側には高周波の障害物回避ソナーであるAN/SQS-100が、下側には中周波の対潜探知用ソナーであるAN/SQS-101が設置されるが、これらの制御は統合されており、デュアル・バンド・ソナーを構成する。また艦尾からはAN/SQR-20多機能式曳航ソナー（MFTA）が展開される。
電子光学システム
E/SVQ-14 | |||
| 運用者 | エーレスラント海軍 | ||
|---|---|---|---|
| 種別 | 光学監視照準装置 | ||
仕様 | |||
| 重量 | 182695kg | ||
| 直径 | 627cm | ||
| 全長 | 118cm | ||
| 使用周波数 | 遠赤外線 可視光 近赤外線 | ||
| 探知高度 | 800km | ||
| 探知距離 | 1820km(RCS=0.1��) 1050km(RCS=0.001��) | ||
| 素子 | ヒ化ガリウムアルミニウム | ||
| 素子数 | 120億個以上 | ||
| 利用電源 | 7700V | ||
航空艤装
ヘリコプター甲板
本級は空母と揚陸艦を除く水上戦闘艦の中で最も広い甲板と格納庫を備えており、EC1003を4機、小型軽量のLAMPSヘリコプターなら5機まで運用することが可能である。ただし、甲板に2機を放置するとレーダー反射が著しく大きくなるため、通常はLAMPS2機もしくはMV-22を2機格納して運用される。LASTが装備されており、シーステート5までヘリコプターを運用できる。また、本級はそのステルス性の高さゆえ、ペンギンズなどの特殊部隊を同乗させて沿海域まで進出し、ヘリコプターや垂直離着陸機を発進させて特殊部隊を投入する、という前線展開手段として利用されることもしばしばある。なお艦の魚雷発射管用とLAMPSヘリコプター用と兼用で、短魚雷80発分の弾庫が設けられているが、ここには、ペンギン空対艦ミサイルやヘルファイア対舟艇ミサイル、LAU-68 70mmロケット弾、25mm機銃弾や40mmグレネード弾も収容できる。
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